情報セキュリティ
公開日:2024年10月16日
営業秘密の管理や保護に関する様々な情報をお届けして参ります。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
知財・標準化推進部長
服部 浩一郎
産業技術総合研究所(以下、産総研)は、第5期中長期目標において掲げたミッション、「世界に先駆けた社会課題の解決と経済成長・産業競争力の強化に貢献するイノベーションの創出」に向け様々な取り組みを進めており、本年度はその最終年度となります。その取り組みの一環として、2023年4月には成果活用等支援法人である株式会社AIST Solutions(以下、AISol)を設立し、現在、産総研とAISolが一丸となって、ナショナル・イノベーションエコシステムの中核としての役割を果たすべく取り組んでいます。
社会課題解決及び産業競争力強化に向けた取組を進めていく上で、営業秘密を含む知的財産や標準化はいずれも欠かすことのできないツールです。産総研では、それを示すため「知的財産・標準化ポリシー」を定めていますが、これもAISolの設立を受けて2024年3月に改正しました。
本ポリシーにおいて、知的財産を「研究成果を財産として具体化し、かつ社会に信用を与えるためのものであり、もって研究成果を社会に還元するためのツール」、標準化を、「市場における共通ルールを定める活動であり、既存の市場において、あるいは新規に市場を創造して、優れた製品やサービスの普及が進む環境を整えるものであり、研究成果の社会実装を加速するツール」と定義し、その取組方針を所内外に公開することで、産総研の研究に携わる人の共通認識となることを目指しています。
ポリシーには、「人材の育成・確保等」も記載しています。すべての職員が知的財産や標準化を活用できるよう、必要な知識の習得を支援し、あわせて、知的財産や標準化に関する知見と研究開発・社会実装に関する知見とをともに有する専門家(IPO)の育成にも取り組んでいます。
知的財産の一つである営業秘密につきましても、その重要性をすべての職員が再認識するよう、関連所内規定の改正を含め取り組みを進めております。取り組みの推進に当たっては、本フォーラムを通じた情報交換は大変有益であり、この場を借りて感謝申し上げます。
今後も、社会課題解決と産業競争力強化に向け、産総研は皆様とともに邁進してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
本コラムでは、不正競争防止法違反被告事件(名古屋高判令和3年4月13日/令2(う)162号)を題材とし、各論点を検討します。
2025年3月から、IoT製品のセキュリティ要件への適合性を確認・可視化する制度、JC-STARの運用を開始します。安全なIoT製品を消費者が選びやすくするため、IoT製品に必要なセキュリティ要件を満たす製品について、IoTベンダーや販売事業者がIPAに申請し、適合ラベルを取得して製品に付与する制度です。
10月9日(日本時間)にMicrosoft製品に関する脆弱性の修正プログラムが公表されました。CVE-2024-43572、CVE-2024-43573の脆弱性について、早急に修正プログラムを適用する必要があります。Microsoft社が悪用の事実を確認しています。IPAでは、公開情報を元に参考情報等を掲載していますので、ご参考になさってください。
IPAでは、経済産業省が策定した「情報セキュリティサービス基準」に適合する情報セキュリティサービスの提供状況の調査結果をサービス分野ごとのリストにして公開し、1か月に1回程度更新しています。情報セキュリティサービスの利用時、ご参考いただけます。
IPAでは、企業・組織の方向けに、不正アクセス等のインシデントに関する相談や届出、情報提供を受け付ける窓口を、取扱うテーマ別に設けております。
10月1日に、IPAが運営している各種窓口をまとめたページを公開しました。セキュリティインシデント等が発生し、お困りの際にご活用ください。
2024年10月23日に四日市商工会議所にて、経済産業省中部経済産業局が「会社のヒミツを守る!営業秘密・技術管理セミナー」を開催します。この説明会にて、当館の知財戦略エキスパートが講演します。ご興味がございましたら、是非ご参加ください。
会場の定員は20名、オンラインの定員は最大100名です。申込締切は2024年10月17日です。
2024年11月14日に大阪合同庁舎1号館にて、経済産業省近畿経済産業局が安全保障貿易管理説明会(初級編)を開催します。この説明会にて、当館の知財戦略エキスパートが講演します。ご興味がございましたら、是非ご参加ください。
現地会場参加の定員は100名、オンラインでの参加に定員はございません。申し込みの締切は2024年11月11日12:00です。
海外ビジネスを展開するにあたって、自社の経営や技術に関する情報を保護することは極めて重要です。
ジェトロでは、実際に営業秘密の保護・管理体制の導入を図る日本企業の中国、タイ、ベトナム、インドネシア、インド、欧州一部の現地法人等を対象に、専門家によるコンサルテーションや社内研修を行う事業を実施します。サービス内容は支援対象企業のニーズにあわせてオーダーメイドでご提供いたします。日本とは異なる商慣習や労務環境、司法保護状況に合わせて営業秘密の管理体制や保護措置を導入するために、ぜひご利用ください。
事業の詳細、申請書は「海外における営業秘密漏えい対策支援事業」(ジェトロ)よりご確認いただけます。
なお、この改正法は、2024年4月1日から施行されています。
詳細は「不正競争防止法 直近の改正(令和5年)」(経済産業省)をご覧ください。
不正競争防止法のテキストを2024年版に改訂しました。
昨年、5年ぶりに法改正がされ、本年4月1日から施行されました。改訂版では、その改正を取り込んだ最新の内容となっており、知財室ウェブページにて公表しております。
また、不正競争防止法や令和5年の法改正の内容について説明会をして欲しい、などのご要望がございましたら、知的財産政策室までご連絡をお願いします。知財室員がご説明に伺います。
不正競争防止法では、限定提供データに関する規定を設けております。企業が保有・活用する「情報」を営業秘密と相互補完的に守る枠組みです。
経済産業省では、限定提供データの定義や不正競争に該当する要件等について、一つの考え方を示すものとして「限定提供データに関する指針」を公表しておりますが、この度、不正競争防止法の改正において限定提供データの保護範囲の見直しを行ったことを踏まえて、指針の改訂を行いました(令和6年2月)。
知財室では、データ利活用に関する資料をウェブページにて公表しておりますので、ご活用いただけますと幸いです。
データ利活用を始めたいが何から始めて良いかわからない、データ利活用においてどのような点に気をつければ良いか等の疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。
6月28日に開催した第10回営業秘密官民フォーラムにて紹介・説明させていただいた、従業員や研究機関職員向けに営業秘密管理の啓発・解説したパンフレット、「知っておきたい営業秘密~予期せぬトラブルに巻き込まれないために~」を公表いたしました。
経済産業省ウェブページからダウンロード可能ですので、営業秘密管理、不正競争防止法についての周知・確認など社内研修等での活用をご検討いただけますと幸いです。(現在は日本語版のみを作成・公表しましたが、今後、外国語翻訳版も準備中です。)
また、冊子の準備も整いましたので、ご希望の方は知財室ウェブページからお申し込み下さい。
詳細は「不正競争防止法」(経済産業省)をご確認ください。
不正競争防止法の講演等において、不正競争防止法の概要とともに紹介・説明させていただいておりました「秘密情報の保護ハンドブック」について、改訂版を公表いたしました(令和6年2月)。
令和5年の不正競争防止法改正など関連法制度・ガイドラインの見直しに伴う修正、営業秘密・労働環境をとりまく「環境の変化」に伴う修正、「生成AIの利活用の拡大」といった社会の動きを考慮した修正等が今回の改訂の中心です。
秘密情報の保護ハンドブックや同ハンドブックのてびきは、経済産業省ウェブページからダウンロード可能です。次のリンク先をご確認いただき、社内研修等での活用をご検討いただけますと幸いです。また、冊子につきましても準備が整いましたので、ご希望の方は知財室ウェブページからお申し込み下さい。
なお、ハンドブックのてびきにつきましても、引き続き請求受付しておりますのでご希望の方へお届けすることも可能でございます。
詳細は「冊子の送付について」(経済産業省)をご確認ください。
産業競争力強化法に基づく技術情報管理認証制度の認証の基準について、事業者の皆様が取り組むべき内容をよりわかりやすく、そして、社会環境の変化に対応するため、「自工会・部工会のサイバーセキュリティガイドライン」のレベル1項目を網羅するとともに、「ISO27001」の一部項目を取り入れる改正を行いました。新しい認証基準を用いた審査は2024年8月16日から始まっています。
また、経済産業省では、情報セキュリティ対策の具体的なアドバイスや、認証取得の支援を行う専門家を無償で派遣する事業を2024年8月1日より開始しました(定員に達し次第、募集は締め切りますのでお早めにお申し込みください。)。
認証の取得にご関心がある方は、専門家派遣事業にお申し込みいただくか、または、国が認定している認証機関までご連絡ください。
詳細は「技術情報管理認証制度ウェブページ」(経済産業省)にてご確認ください。
経済産業省は産業競争力強化法に基づく技術情報管理認証制度の基準をもとに、中小企業や専門知識がない方でも自社の情報セキュリティ対策の状況を確認し、必要な対策を把握できる「技術情報管理 自己チェックリスト」を公開しております。
情報セキュリティ対策をなにから始めればいいか分からずお悩みの方は、まずは自己チェックリストを経済産業省ウェブページからダウンロードして、自己診断してみましょう。
知的財産戦略本部において、政府における知財戦略や知財施策を取りまとめた「知的財産推進計画2024~イノベーションを創出・促進する知財エコシステムの再構築と「新たなクールジャパン戦略」の推進に向けて~」を公表しています。
詳細は「知的財産推進計画2024」のPDF(内閣府 知的財産戦略本部)をご確認ください。
INPITでは、大切な秘密情報を巡るよくあるトラブル事例や、営業秘密として管理する手法についてまとめた研修動画を、当館のeラーニングサイトIPePlatに公開しております。
営業秘密について学びたい、これから営業秘密管理に取り組もうという方向けの内容で、無料でご視聴いただけます。
動画は、eラーニングサイトIPePlatのトップページから、「全てのコース」、「ビジネス(経営戦略)」とお進みいただき、「はじめての「営業秘密管理」」や、「会社のヒミツを守る7つのステップ!-INPITの営業秘密管理支援」を選択するとご確認いただけます。
皆様の企業・研究機関にはどのような技術情報がありますか?技術流出の防止には、「情勢」・「事例」・「対策」の理解が欠かせません。この度、警察庁公式サイトに特設ページ「技術流出の防止に向けて」を開設し、技術流出に関する情勢、リスクのある具体的事例「3つのS」と題した企業や個人が取るべき対策などをわかりやすく説明しています。動画やパンフレットも掲載されていますので社内研修等にご活用ください。
事例、動画、パンフレット等は特設ページ「技術流出の防止に向けて」(警察庁)よりご覧いただけます。
スタートアップ必見!知的財産の重要性を呼びかける、全5話のWebショートドラマを公開中です。
『全話最終回… どうやっても毎回倒産してしまうナオトとその仲間たち』
大手企業の契約担当者の罠に落ち、信頼していた研究パートナーにはめられ、不慣れな異国の地でも知的財産トラブルに見舞われるなど、挑戦のたびに知的財産が原因で倒産してしまう3人組。知的財産の重要性を知らないと行き着く先は「THE END.」になってしまうという、学びのある物語です。
世界初!?厳しいビジネスの世界をサバンナに例え、ネイチャードキュメンタリーさながらに、サバンナで生きるシャチョー(スタートアップ類)の大切なアイデアや技術を“捕食”されないよう、知的財産の重要性を啓発する動画になっています。
「知財を守るアドバイスをあなたに」INPIT(インピット)
トップセールスでうっかり…、取引先からの要請に答えたら…、展示会でアピールし過ぎて…、など営業秘密で陥りがちな失敗とケーススタディをYouTube動画で公開中です。
脆弱性体験学習ツール「AppGoat」は、脆弱性の概要や対策方法等の脆弱性に関する基礎的な知識を実習形式で体系的に学べるツールです。本動画では、「AppGoat」の概要から始まり、利用申請から学習の進め方までを学べます。
「AppGoat」を利用して、脆弱性の発見、プログラミング上の問題点の把握、対策手法を学習できます。
動画は、「脆弱性体験学習ツールAppGoat利用の手引き」の再生リスト(YouTubeのIPA Channel)でご覧ください。
豊富な知財実務経験を有する「知財戦略エキスパート」が、企業の実情に合わせた秘密情報の管理体制(例えば、書類・記録媒体の管理方法、電子データの管理等)の整備をご支援いたします。
地方自治体や中小企業支援機関が主催するセミナー・講演会、中小企業における社内研修等への講師派遣も無料で実施しており、ご好評いただいております。是非ご活用ください。
お問い合わせは、「営業秘密支援窓口」(INPIT)を ご参照ください。
INPITが運営する「知財ポータル」にて、「特許などによる権利化/営業秘密として秘匿化、どう使い分ければよい?」「転職しようとする社員に対して、どのような契約を結べばよいか?」、「他社を退職した技術者を採用したい。どのような点に注意すればよいか?」といった、営業秘密管理におけるよくある質問を一問一答形式のFAQとしてとりまとめています。
詳しくはよくあるご相談「営業秘密管理」(INPIT)よりご覧ください。
いつも「つぼマガ」をご愛読いただきありがとうございます。
最近の個人的なニュースについてご紹介致します。
友人がITパスポートの試験に向けて勉強していたのですが、「テキストに不正競争防止法が書かれてるよ」と教えてくれたので思わず見てしまいました。
見開き1ページほどですが産業財産権のページがあり、特許権や意匠権なども掲載されている中、不競法の簡単な概要と営業秘密の3要件も掲載されておりました。
さらに、過去問にも不競法についての問題がありました。私もその問題を解いてみたのですが、特許権や意匠権と絡めての選択問題が出ておりついつい悩んでしまうほど良い問題でした。
ITパスポートの試験を受けている方にも「不正競争防止法」、「営業秘密」といった言葉に触れてもらえる機会があり、ITを活用する様々なビジネスの場面で不競法の知識が役立つのを感じました。
また、一般の方に少しでも不競法や営業秘密について知っていただく機会が更に増えてくれたらいいなと思いました。
以上、個人的なニュースでした。
「つぼマガ」第100号をお読みいただき、ありがとうございました。
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