情報セキュリティ
最終更新日:2018年4月27日
10大脅威選考会メンバーの投票により選出した「個人」と「組織」の10大脅威の順位と概要は下記になります。
ウイルス感染やフィッシング詐欺により、インターネットバンキングの認証情報やクレジットカード情報が攻撃者に窃取され、不正送金や不正利用が行われている。2017年は、インターネットバンキングの被害件数と被害額は減少傾向だが、新たに仮想通貨利用者を狙った攻撃が確認されている。
なお、1月30日にプレスリリースした「情報セキュリティ10大脅威 2018」を決定では、タイトルを 「インターネットバンキングやクレジットカード情報の不正利用」としていましたが、検討の結果、本タイトルに変更しました。
ランサムウェアとは、PC やスマートフォンにあるファイルの暗号化や画面ロック等を行い、金銭を支払えば復旧させると脅迫する犯罪行為の手口に使われるウイルスである。そのランサムウェアに感染する被害が引き続き発生している。さらに、ランサムウェアに感染した端末だけではなく、その端末からアクセスできる共有サーバーや外付けHDDに保存されているファイルも暗号化されるおそれがある。2017年には、OSの脆弱性を悪用し、ネットワークを介して感染台数を増やすランサムウェアも登場した。
コミュニティサイト(ブログ、SNS、掲示板等)上で、個人や組織に対して誹謗・中傷や犯罪予告をする書き込みが行われている。コミュニティサイトへの書き込みは、匿名性や手軽さから安易に投稿されてしまう傾向にある。また、SNSを使った犯罪は社会的な問題となっており、2017年は殺人事件にまで発展した事例もあった。
公式マーケット等に公開されている不正アプリをスマートフォン利用者がインストールしてしまうことで、スマートフォン内の重要な情報を窃取されたり、不正に操作される被害が確認されている。また、データの暗号化等を行うランサムウェアの機能を持つアプリに加えて、2017年は個人情報を公開すると脅すランサムウェアの機能を持つアプリも確認されている。
なお、1月30日にプレスリリースした「情報セキュリティ10大脅威 2018」を決定では、タイトルを 「スマートフォンやスマートフォンアプリを狙った攻撃の可能性」としていましたが、検討の結果、本タイトルに変更しました。
ウェブサービスに不正ログインされ、金銭的な被害や個人情報が窃取される等の被害が確認されている。2017年に確認されたウェブサービスへの不正ログインの多くがパスワードリスト攻撃により行われている。インターネットには多数のウェブサービスが存在しており、ウェブサービスの利用者が推測されやすいパスワードの使用やパスワードの使いまわしをしている場合、不正ログインが行われてしまう。
2017年も引き続き、ウェブサービスの脆弱性が悪用され、ウェブサービスに登録した個人情報やクレジットカード情報を窃取される事件が多発している。窃取した情報を悪用されると不審メールを送信されたり、クレジットカード情報を不正利用されるおそれがある。
2017年も未成年者がサイバー犯罪の加害者として逮捕、補導される事件が確認されている。サイバー犯罪に悪用できるツールや知識がインターネットを通じて誰でも入手・利用できるようになったことで、情報モラルの欠如した未成年者が、サイバー犯罪に手を染めやすくなっている。また、未成年者のPCやスマートフォンの所持も当たり前となってきているが、教員や親の監視が行き届きにくい。
PCやスマートフォンを利用中にアダルトサイトの請求画面が表示され、金銭を不当に請求されるワンクリック請求の被害が依然として発生している。1度のクリックによる請求だけでなく、複数回のクリックをさせることで、請求の正当性を主張されて不当請求されてしまう被害も確認されている。
昨今、インターネットに接続されている機器であるIoT機器の利用が進んでいる。一方、利用者はIoT機器がインターネットに接続されていることを意識せずに利用しており、セキュリティ対策等の適切な管理が行われていないことがある。管理を怠っているIoT機器が狙われ、室内の覗き見や攻撃の踏み台にされるといった被害が出ている。
PCやスマートフォンでウェブサイトを閲覧中に、突然「ウイルスに感染している」等の偽警告を表示し、利用者の不安を煽り、偽警告に記載された操作を行わせ、金銭的な被害や個人情報等を窃取される被害が発生している。偽警告は本物の警告と誤認されるように巧妙な細工が施されており、被害者は信じて指示に従ってしまう。
なお、1月30日にプレスリリースした「情報セキュリティ10大脅威 2018」を決定では、タイトルを 「偽警告」としていましたが、検討の結果、本タイトルに変更しました。
企業や民間団体や官公庁等、特定の組織を狙う、標的型攻撃が引き続き発生している。メールの添付ファイルを開かせたり、悪意あるウェブサイトにアクセスさせて、PCをウイルスに感染させる。その後、組織内の別のPCやサーバーに感染を拡大され、最終的に業務上の重要情報や個人情報が窃取される。さらに、金銭目的な場合は、入手した情報を転売等されるおそれもある。
なお、1月30日にプレスリリースした「情報セキュリティ10大脅威 2018」を決定では、タイトルを 「標的型攻撃による情報流出」としていましたが、検討の結果、本タイトルに変更しました。
ランサムウェアとは、PC やスマートフォンに保存されているファイルの暗号化や画面ロック等を行い、金銭を支払えば復旧させると脅迫する犯罪行為の手口に使われるウイルスである。そのランサムウェアに感染する被害が引き続き発生している。さらに、ランサムウェアに感染した端末だけではなく、その端末からアクセスできる共有サーバーや外付けHDDに保存されているファイルも暗号化されるおそれがある。組織内のファイルが広範囲で暗号化された場合、事業継続にも大きな支障が生じる。また、2017年は、OSの脆弱性を悪用し、ランサムウェアに感染した端末が接続しているネットワークを介して感染台数を増やすランサムウェアも登場した。
「ビジネスメール詐欺」(Business E-mail Compromise:BEC)は巧妙に細工したメールのやりとりにより、企業の担当者を騙し、攻撃者の用意した口座へ送金させる詐欺の手口である。詐欺行為の準備としてウイルス等を悪用し、企業内の従業員の情報が窃取されることもある。以前は主に海外の組織が被害に遭ってきたが、2016年以降、国内企業でも被害が確認されている。
なお、1月30日にプレスリリースした「情報セキュリティ10大脅威 2018」を決定では、タイトルを 「ビジネスメール詐欺」としていましたが、検討の結果、本タイトルに変更しました。
ソフトウェア製品の脆弱性対策情報の公開は、脆弱性の脅威や対策情報を広く呼び掛けられるメリットがある。一方、その情報を攻撃者に悪用され、当該ソフトウェア製品を利用した対策前のシステムを狙う攻撃が行われている。また、近年では脆弱性情報の公開後、その脆弱性を悪用した攻撃が本格化するまでの時間が一層短くなっている傾向がある。なお、脆弱性対策情報の公開前に攻撃が行われる場合もある。
なお、1月30日にプレスリリースした「情報セキュリティ10大脅威 2018」を決定では、タイトルを 「脆弱性対策情報の公開に伴い公知となる脆弱性の悪用増加」としていましたが、検討の結果、本タイトルに変更しました。
情報セキュリティにおける脅威は増大の一途を辿っており、毎年のように新たな脅威が出てきている。これらの脅威に対応するためには情報セキュリティの知識や技術を有するセキュリティ人材が求められる。しかし、需要に対するセキュリティ人材の人数が不足しており、また、セキュリティ人材がいたとしても組織は確保するための十分な予算がなく、確保できていないケースもある。セキュリティ人材の不足により、様々な脅威への対応や対策が十分に行えず、被害を拡大してしまうおそれがある。
なお、1月30日にプレスリリースした「情報セキュリティ10大脅威 2018」を決定では、タイトルを 「セキュリティ人材の不足」としていましたが、検討の結果、本タイトルに変更しました。
2017年も引き続き、ウェブサービスの脆弱性が悪用され、ウェブサービス内に登録されている個人情報やクレジットカード情報等の重要な情報を窃取される被害が発生している。それらの情報を窃取されると、攻撃者により顧客や利用者の個人情報を悪用した不審なメールを送信されたり、クレジットカードを不正利用されるおそれがある。
2016年に引き続き、IoT機器の脆弱性を悪用しウイルスに感染させることで、インターネット上のサービスやサーバーに対して、大規模な分散型サービス妨害(DDoS)攻撃が行われる等の被害が確認されている。また、国内で発売されているIoT機器において脆弱性が発見されており、機器を乗っ取られる、または撮影機能等を悪用して個人情報を窃取されるといった危険性があることが公表されている。
組織内部の従業員や元従業員により、私怨や金銭目的等の個人的な利益享受のため組織の情報が不正に持ち出されている。また、組織の情報持ち出しのルールを守らずに不正に情報を持ち出し、さらにその情報を紛失し、情報漏えいにつながることもある。内部不正が発覚した場合、組織は、被害把握や原因追求等の対応に追われ、また社会的信用の失墜等にもつながる。
ウイルスに感染し、ボット化した機器からDDoS(分散型サービス妨害)攻撃が行われている。それにより、ウェブサイトやDNSサーバーが高負荷状態となり、利用者がアクセスできなくなる被害が確認されている。2017年は公式のマーケットに公開されたスマートフォンアプリがボット化し、DDoS攻撃が行われた被害が確認されている。
犯罪に使用するためのサービスやツール、IDやパスワードの情報がアンダーグラウンド市場で取り引きされ、これらを悪用した攻撃が行われている。攻撃に対する専門知識に詳しくない者でもサービスやツールを利用することで、容易に攻撃を行えるため、サービスやツールが公開されると被害が広がるおそれがある。
IPA セキュリティセンター 土屋/内海