情報セキュリティ
公開日:2023年8月16日
営業秘密の管理や保護に関する様々な情報をお届けして参ります。
日本製薬工業協会(JPMA)
知的財産部長 藤井 光夫
製薬産業は製品(医薬品)に関する情報の多くを公表しなければならない事情により、ノウハウとして秘匿しておける部分が他産業よりも少なく、製品に係る技術の多くは特許出願し、特許によりビジネスを守ることを目指しています。一方で、最近目覚ましい進歩をしている核酸医薬・ワクチン、遺伝子治療等の先端技術については、従来の医薬品に比べノウハウに依存する部分が増加し、ノウハウによりビジネスを守ることの検討も必要となっています。
この中で注目すべき最近の研究開発事例として、COVID-19ワクチンがあります。COVID-19ワクチンの研究開発では、全世界での産官学の研究機関によるコラボレーションが400件を超え、それらを通じて660を超えるワクチン候補の研究開発が行われ、その結果これまでにない速さ(9カ月間~)で安全で効果的なmRNAワクチンの開発・実用化に成功しました。
この、迅速且つ多数のコラボレーションでは契約に基づく特許の実施許諾及びノウハウの共有が行われました。迅速且つ多数のコラボレーションがCOVID-19ワクチンの研究開発に必要であったとは言え、コラボレーションには相互の信頼関係が重要であることは言うまでもなく、大企業、ベンチャー及びアカデミア等に関係なく双方が有するノウハウを区別し適切に管理することは、その重要な要素の一つです。
さらに次のパンデミック時には、100日以内に安全で効果的なワクチンを入手可能とすることが2021年G7サミットで合意され、COVID-19ワクチンの研究開発よりもさらに迅速且つ多数のコラボレーションが必要になると考えられます。ただでさえノウハウの適切な管理は負担がかかるところ、その負担が非常に大きくなる可能性があります。100日以内に安全で効果的なワクチンを入手可能とするためにも、非常時における研究開発を阻害することがないよう、適切かつ効率的なノウハウの管理について平時からの備えが必要と考えられます。
弁護士知財ネットからの「訴訟・判決コラム」は、今回はお休みです。
過去の掲載記事は、弁護士知財ネットのウェブサイトをご覧ください。
国内で特定のVPN装置やサーバーを悪用した事例が確認されていることから、IPAは8月1日ネットワーク貫通型による標的型攻撃について注意喚起を発表するとともに、経済産業省が5月に公開した「Attack Surface Management導入ガイダンス」の活用を促しました。
詳細は注意喚起ページをご確認ください。
日本時間2023年8月9日に修正プログラムが公表されました。CVE-2023-38180の脆弱性について、悪用の事実を確認済みであるとMS社が公表しています。 様々な被害の発生・拡大の恐れがあるため、修正プログラムの至急の適用が望まれます。
詳細はMicrosoft製品の脆弱性対策ページをご確認ください。
「サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer3.0」で定める重要10項目の実施状況を5段階の成熟モデルで可視化(レーダーチャート表示)できるツールです。
今回の最新版(Excel版、Ver2.1)では、業種平均値の比較機能に対応いたしました。
ツールの使い方等の詳細は可視化ツールのページをご確認ください。
2008年から毎年発行している本書は、情報セキュリティに関する国内外の政策や脅威の動向、インシデントの発生状況、被害実態を網羅しています。 最新刊では、昨今事案報道の多い内部不正の防止体制・対策の実態のほか、虚偽情報拡散の脅威を新たに取上げ、その生成や拡散の流れ、拡散の抑制に向けた政府の対応なども紹介しています。
詳細は情報セキュリティ白書のページをご覧ください。
独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)では、大切な秘密情報を巡るよくあるトラブル事例や、営業秘密として管理する手法についてまとめた研修動画を、当館のeラーニングサイトIPePlatに公開しております。
営業秘密について学びたい、これから営業秘密管理に取組もうという方向けの内容で、無料でご視聴頂けます。
動画は「はじめての営業秘密管理」よりご覧いただけます。
海外ビジネスを展開するにあたって、自社の経営や技術に関する情報を保護することは極めて重要です。ジェトロでは、実際に営業秘密の保護・管理体制の導入を図る日本企業の中国、タイ、ベトナム、インドネシア、インド、欧州一部の現地法人等を対象に、専門家によるコンサルテーションや社内研修を行う事業を実施します。サービス内容は支援対象企業のニーズにあわせてオーダーメイドでご提供致します。日本とは異なる商慣習や労務環境、司法保護状況に合わせて営業秘密の管理体制や保護措置を導入するために、ぜひご利用下さい。
事業の詳細、申請書はジェトロの支援サービスのページをご覧ください。
経済産業省は、産業競争力強化法に基づく技術情報管理認証制度の認証取得を目指す事業者等を対象に、情報セキュリティの具体的な取組方法のアドバイスや、認証取得の支援を行う専門家を無償で派遣する事業を実施しています。 なお、予定枠が埋まり次第募集を打ち切る場合がありますので、派遣を希望される方は、早めの応募をお願いします。
詳細は「技術情報管理認証制度 専門家派遣事業ウェブページ」をご確認ください。
2023年3月10日に閣議決定された「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が同年6月7日に可決、成立し、6月14日に法律第51号として公布されました。今回の改正では、さらなる営業秘密・限定提供データの保護強化を実施しています。
等が盛り込まれています。
詳細は特許庁のウェブページをご覧ください。
技術情報管理自己チェックリストのダウンロードは、技術情報管理自己チェックリストのウェブページをご確認ください。
今までに、海外市場に進出しようと調査した企業様より以下のような相談がございました。
それどころかそうとは知らずに進出した結果、「商標権」等を登録していた海外企業から逆に訴えられるというケースもございました。ジェトロではこのような被害にあわれた方を支援するために、次のような事業を行っております。
1.海外の模倣品被害を何とかしたい方
模倣品対策支援事業のウェブページをご覧ください。
2.海外企業に自社商標を先取出願された方
冒認商標無効・取消係争支援事業のウェブページをご覧ください。
3.外国企業から警告状が届いた、訴えられた方
防衛型侵害対策支援事業のウェブページをご覧ください。
皆様の企業・研究機関にはどのような技術情報がありますか?
技術流出の防止には、「情勢」・「事例」・「対策」の理解が欠かせません。この度、警察庁公式サイトに特設ページ「技術流出の防止に向けて」を開設し、技術流出に関する情勢、リスクのある具体的事例「3つのS」 と題した企業や個人が取るべき対策などをわかりやすく説明しています。動画やパンフレットも掲載されていますので社内研修等に御活用ください。
「技術流出の防止に向けて」のウェブページから事例、動画、パンフレット等をご覧ください。
内閣府知的財産戦略本部において、政府における知財戦略や知財施策を取りまとめた「知的財産推進計画2023~多様なプレイヤーが世の中の知的財産の利用価値を最大限に引き出す社会に向けて~」を公表しています。 「知的財産推進計画2023」では、知財戦略の基本認識と重点10施策の中で、営業秘密やデータ利活用に関する施策についても掲載されています。
詳細は 知的財産推進計画2023のPDF版をご確認ください。
不正競争防止法の講義等において、不正競争防止法の概要をはじめ、秘密情報の保護ハンドブックや同ハンドブックのてびきの紹介・説明をさせていただいております。
これらの資料は、経済産業省ホームページからダウンロード可能です。また、ご希望の方には、冊子をお届けすることも可能でございます。社内研修等での活用をご検討いただけますと幸いです。
詳細は「冊子の送付について」のウェブページをご確認ください。
不正競争防止法では、限定提供データに関する規定を設けております。企業が保有・活用する「情報」を営業秘密と相互補完的に守る枠組みです。
知財室では、データ利活用に関する資料をウェブサイトにて公表しておりますので、ご活用いただけますと幸いです。
データ利活用を始めたいが何から始めて良いかわからない、データ利活用においてどのような点に気をつければ良いか等の疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。
世界初!?
厳しいビジネスの世界をサバンナに例え、ネイチャードキュメンタリーさながらに、サバンナで生きるシャチョー(スタートアップ類)の大切なアイデアや技術を“捕食”されないよう、知的財産の重要性を啓発する動画になっています!!
YouTube動画はINPIT(インピット)Channel「スタートアップ社長 in サバンナ」(ナレーション:森田成一)からご覧ください。
また、「INPIT(インピット)のスタートアップ支援!」のウェブページも併せてご覧ください。
トップセールスでうっかり・・・、取引先からの要請に答えたら・・・、展示会でアピールし過ぎて・・・、など営業秘密で陥りがちな失敗とケーススタディをYouTube動画で公開中です。
「わが社の営業秘密は大丈夫かな?」とちょっと思った方!必見です。
YouTubeで公開中の動画
第1弾 【この話、自分には関係ない本当にそう】トップセールスでのうっかり
第2弾 【取引先からの思いがけない提案】苦渋の判断が生んだ悲劇
第3弾 【会社総出でアピールしたら】展示会の落とし穴
不正競争防止法のテキスト最新版を、知財室のページにて公表しております。
また、不正競争防止法について説明会をしてほしい!などのご要望がございましたら、知的財産政策室までご連絡をお願いします。
知財室員がご説明に伺います。
独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)が運営する「知財ポータル」にて、「取引先から我が社のノウハウの提供を求められている。どうしたらよい?」といった、営業秘密管理におけるよくある質問を一問一答形式のFAQとしてとりまとめています。
詳しくは営業秘密・知財戦略よりご覧ください。
知的財産戦略アドバイザーが企業の実情に合わせた秘密情報の管理体制(例えば、書類・記録媒体の管理方法、電子データの管理等)の整備をご支援いたします。
地方自治体や中小企業支援機関が主催するセミナー・講演会、中小企業における社内研修等への講師派遣も無料で実施しており、ご好評いただいております。是非ご活用ください。
お問い合わせは「営業秘密・知財戦略相談窓口」のサービス概要をご参照ください。
今年の夏は、各地で夏祭りや花火大会などが再開されて、以前の賑わいが戻ってきている様子。やはり日本の夏はこうでなければ…と感慨を新たにしております。
先日たまたま、国内の花火製造会社を紹介する番組を観ました。どーんと打ちあがる大きな花火ではなく、手持ち花火一つでも、火花が20色変化するものや火花がUターンするものなど、火花の色・大きさ・形状・燃焼時間などに工夫を凝らし、日本独自のアイディアと技術で安価な輸入品との差別化を図っていることがわかりました。
作り方を紹介する場面では、「海外の業者が火花がパチパチと散る様に作る秘訣や技術を狙っているので」と詳細は一切語られずじまいでした。なにげない夏の風物詩の花火にも貴重な技術情報があったことに気づいた次第。日本の大切な技術情報が守られることを祈るばかりでした。
そして…久しぶりにくだんの手持ち花火をしてみたくなりました。ネットで調べたところ、受注生産でかなり高級な逸品であることも判りました。となればせっかくですので、高級な花火に釣り合う場所で、気合を入れて「ひと夏の経験」としゃれこむのもいいか、と気分が盛り上がってきたところです。
皆様も、「手持ち花火」で過ぎ行く夏と最新花火技術を身近に堪能されるというのはいかがでしょうか?
「つぼマガ」第86号をお読みいただき、ありがとうございました。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)セキュリティセンター
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03-5978-7513
皆様のご意見、ご要望などをお待ちしております。
ご意見およびご要望は、次のアドレスにメール願います。