社会・産業のデジタル変革

AI時代の要求管理ハンドブック ~経営・現場・開発がともに描く、問いから実現への道筋~

公開日:2026年11月5日

デジタル&AIシステムズ・デザインセンター

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、AIが社会や産業の基盤となる時代に求められる要求管理の考え方と実践を解説した「AI時代の要求管理ハンドブック」を公開しました。

AIやデータ、ソフトウェアの活用が広がり、ビジネス環境や技術が急速に変化する中、組織や社会が「何を実現したいのか」を明確にし、その目的を要求・要件として具体化するとともに、業務、データ、システム、ルール、評価、運用・改善へと一貫してつなげていくことが重要になっています。

そのためには、要求・要件を一度定義して終わりにするのではなく、関係者間で共通理解を形成し、変化に応じて継続的に管理していくことが求められます。
本書は、こうしたAI時代の要求管理を実践するために必要な基本的な考え方、手法、留意点等を体系的に整理したものです。

本書の特徴

1. 「何を実現したいか」を起点に考える

要求管理をシステム開発の上流工程に限定せず、組織や社会が実現したい価値を要求・要件へと結び付け、具体的な実現手段や評価・運用につなぐ継続的な活動として捉えて解説しています。

2. AI時代における要求管理の変化を捉える

AIシステム特有の不確実性やデータ品質、人とAIの役割分担等について、要求・要件として明確にするための考え方を解説します。また、AIを活用した要求の抽出、分析、文書化、整合性確認等の支援についても取り上げます。

3. 要求管理を継続的な組織活動につなげる

要求・要件と設計・実装・評価・運用を関連付け、変更に伴う影響を把握するためのモデル化やトレーサビリティの考え方を解説します。また、法令・規則等との接続や、要求管理を組織へ段階的に導入・定着させるための考え方も紹介します。

想定読者・活用場面

  • 本書は、情報システムの開発者だけでなく、経営、事業、業務改革、AI・データ活用、法務、調達等に関わる幅広い関係者を対象としています。
    例えば、次のような場面での活用を想定しています。
    • 経営層・事業部門・業務改革担当者:事業上の目的や課題を関係者間で共有し、業務改革やAI活用の方向性を要求・要件へとつなげたい場合
    • IT・システム開発・AI・データ担当者:要求・要件の品質を高め、設計・実装・評価・運用まで一貫して管理したい場合
    • 法務・コンプライアンス・調達・行政機関の担当者:法令・規則・契約等で求められる事項を、業務やシステムで実現すべき要件として整理したい場合
    • 組織の管理者・プロジェクト責任者:要求管理を特定の担当者に依存させず、組織的な活動として導入・定着させたい場合

本書のすべての内容を一律に適用する必要はなく、読者の役割やプロジェクトの特性、課題に応じて必要な内容を参照することができます。

本書の主な内容

本書は、次の5部で構成しています。

第1部 要求管理の基礎

「要望」「要求」「要件」の違いや要求工学の基本プロセスを整理し、要求管理の意義や、経営・事業活動との関係を解説します。

第2部 AI時代に要求管理はどう変わるか

AIシステムに求められる要求・要件、AIによる要求管理支援、AI時代における要求管理プロセス等を解説します。

第3部 モデリングとトレーサビリティ

要求の可視化・モデル化、ビルディングブロックやサービスを活用したシステムの実現、要求・要件と実装等の追跡可能性の確保について解説します。

第4部 ルール・制度・コンプライアンスと要求管

法令・規制・標準や社内規則等を、業務やシステムで実現すべき要求・要件につなげるための考え方を解説します。

第5部 AI時代の要求管理プロセスの組織への定着

要求管理を組織に導入し、継続的に実践するための役割分担、導入ステップ、成熟度及び代表的な成果物について解説します。

ご意見・ご要望などの受付

本書は、技術動向や実務における知見の蓄積等を踏まえ、継続的に見直し・更新していくことを想定しています。
本書の内容に関するご意見や改善提案等がありましたら、下記お問い合わせ先までお寄せください。今後の改訂に向けた参考とさせていただきます。

お問い合わせ先

IPAデジタル&AIシステムズ・デザインセンター
アーキテクチャ基盤設計部 システム・ソフトウェアエンジニアリンググループ

  • E-mail

    dadc-infoアットマークipa.go.jp

更新履歴

  • 2026年11月5日

    「AI時代の要求管理ハンドブック」Ver.1.0.0を公開