社会・産業のデジタル変革
公開日:2023年6月12日
最終更新日:2023年8月1日
独立行政法人情報処理推進機構
デジタル基盤センター
IPAは、組込み/IoT産業の構造転換および人材の能力向上等の実態と最新動向を把握し、産業の競争力強化及び持続的発展のための施策立案に資することを目的として、組込み/IoTに関するアンケート調査を実施しましたので、その調査結果を公開します。
アンケート調査実施期間 |
2022年11月~2022年12月 |
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調査票の配布数 |
7,864部 |
回収数 |
1,214件 |
アンケート調査は、下記の通り、2019年度より設定した組込み/IoT産業の産業構造区分を見直し、調査対象の企業をそれぞれの区分に分類した上で、それら企業の経営者、事業部門の責任者を主たる対象として実施しました。
<組込み/IoT産業の産業構造区分>
(A)ユーザー企業 |
他社の組込み/IoT関連の製品・サービス等を利用または調達をしている企業。 |
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(B)メーカー企業 |
組込み/IoT技術を用いたシステム(製品・サービス)を開発/提供している企業。 |
(C)サブシステム提供企業 |
システム(製品・サービス)を構成するハードウェア/ソフトウェア部品・サブシステム・コンポーネントを開発・提供する企業。 |
(D)サービス提供企業 |
受託開発、人材派遣、教育研修、コンサルティング、クラウドサービス、システム管理・運用など、サービスを提供する企業。 |
1.企業活動の状況 |
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2.事業環境の変化 |
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3.DXに関する取り組み |
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4.技術に関する取り組み |
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5.人材に関する取り組み |
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6.調査への要望他 |
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7.ヒアリング調査についてのご協力のお願い |
Q27 ヒアリング調査への協力可否 |
(1)回答企業の設立年
回答企業の設立年は、中央値は1988年で、10年毎でみると「1981~1990年」が最も多く、次いで「2001年~2010年」でした。組込み型マイコンが様々な装置に搭載されるようになった時期以降に設立された企業が多くなっています。
回答企業の設立年(N=1044)
(2)事業の課題
現在の事業における課題について、「当てはまる」の回答は、「人材の確保・強化」が68%で最も高く、次いで「収益性の向上」が60%、「製品・サービス・技術の確保・強化」が50%となっており、事業に関する直接の課題よりも人材面での課題が大きくなっています。
現在の事業における課題 (N=1180)
(3)製品・サービスの拠点(サプライチェーン)
組込み/IoT産業における製品・サービスの拠点(サプライチェーン)は、国内を拠点とするところがほとんどで、企画、開発、生産と海外に拠点を移していますが、その割合は少ないです。5年後では、その比率はいずれも10%程度は海外にシフトする傾向にありますが、調査時期が円安であった状況を踏まえると、国内中心ではあるが海外拠点を意識していることがうかがえます。
製品・サービスの拠点 【現在】
製品・サービスの拠点 【5年後】
(4)DXの状況【事業への影響/取り組み】(経年比較)
「メーカー企業」、「サブシステム提供企業」、「サービス提供企業」を対象に、DXの事業への影響について経年比較したところ、2021年度以降「非常に大きい」、「大きい」を合わせた割合が増加しています。対象を同様にDXの取り組み状況について経年比較したところ、2022年度は、2021年度と比べてほぼ同じ状況になっています。
DXの動きによる事業への影響等 【事業への影響】 (経年変化)
DXの動きによる事業への影響等 【DXの取り組み状況】 (経年変化)
(5)DXの進め方
DXに取り組んでいる企業のDXの進め方は、「一部でのみ実施」が42%と最も高く、次いで「一部で実施後に全社展開」が32%となっています。一概に比較はできないものの、「DX白書 2023」では、DXに取り組んでいない企業なども含めた中で26.9%が「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」となっていますが、組込み/IoT産業では「全社で一斉に実施している」は若干低く、「一部でのみ実施」が高い傾向にあります。
DXの進め方の構成割合(N=848)
(6)DXの効果
DXに取り組んでいる企業のDXの効果について、「効果があった」の回答は、「生産効率の向上」が14%で最も高く、次いで「労働環境の改善」が13%となっており、デジタイズまたはデジタライズによる効果をあげている企業が多くなっています。また、「わからない」が相当数占めていることから、DXは道半ばの様子がうかがえます。
DXの効果 (N=830)
(7)開発スタイル【現在】
現在の開発スタイル(開発手法)では、今年度は新たに「ウォーターフォール開発/V字開発」「擦り合わせ開発」「組み合わせ開発」など従来の開発スタイルも選択肢に追加しました。「ほぼすべて(9割以上)」および「どちらかというと多い(6割以上9割未満)」の回答は、「ウォーターフォール開発/V字開発」が34%で最も高く、次は間を大きくあけて「派生・再利用開発」が16%、「スクラッチ開発」が15%、「商用ソフトウェア(有償・無償を含む)を利用した開発」が14%、「アジャイル開発」が12%でした。従来の開発スタイルも多いことがわかります。
開発スタイル 【現在】 (N=1077)
(8)技術動向 散布図(事業を推進するために必要な技術×将来、強化/新たに獲得したい技術)
2022年度も、「AI技術」、「クラウド技術」、「ビッグデータ」が「将来、強化/新たに獲得したい技術」で高い傾向にありますが、「事業を推進するために必要な技術」で「クラウド技術」が2021年度より伸びており、運用の局面に入ってきたと思われます。「事業を推進するために必要な技術」において、要素技術よりも開発技術(赤字)が高い傾向にありますが、「将来、強化/新たに獲得したい技術」は「事業を推進するために必要な技術」と比較すると高くありません。
(9)人材確保・強化の取り組み
人材の確保・強化のための取り組みについて、「実施中」の回答は、「不足人材の雇用」と直接の対処が55%と最も高く、次いで「社内人材の配置転換」が28%、「外部専門家の活用」「就労条件の多様化」が26%となっています。「社内人材のリスキリング」は、18%とまだ低い傾向にあります。
人材の確保・強化においての取り組み (N=1062)
IPA デジタル基盤センター
デジタルエンジニアリング部 ソフトウェアエンジニアリンググループ
2023年8月1日
調査結果(PowerPoint)のノート記述を微修正
2023年7月25日
「Q21.事業を推進するための技術 【事業を推進するために必要な技術×自社が強みとしている技術】」(P. 173)を追加
2023年7月1日
2023年7月1日の組織改編に伴い、お問い合わせ先を更新
2023年6月5日
公開