社会・産業のデジタル変革
IPA調査分析ディスカッション・ペーパー2024-02
公開日:2024年7月25日
独立行政法人情報処理推進機構
調査分析室 河野浩二、神谷幸枝
本ディスカッション・ペーパーは、執筆者の見解に基づく内容であり、独立行政法人情報処理推進機構としての公式⾒解を示すものではありません。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、2024年2月から5月初旬にかけて「企業等におけるDX推進状況等調査分析」(以下、「DX動向2024調査」)を実施し、DXの取組を担う人材の不足が一層深刻化していることを示した。企業等におけるDXの取組が広がる中で、DXの取組を担う人材(DXを推進する人材)の不足は、ITシステム開発やITサービスを提供するIT企業と比べ、DXの取組を進める事業会社で深刻化している。
本稿では、「DX動向2024調査」の調査結果等から、日本企業のDXを推進する人材の不足、人材育成・確保の実態を示し、課題を分析した。その結果から、日本企業では、ビジネスアーキテクトやデータサイエンティストの不足感が高いことや、人材不足がDX推進に強く影響していることを示した。また、DXで成果を上げる企業では、人材確保に必要な取組を行う割合が高いことを明らかにした。また、自社にとって必要となるDXを推進する人材の人材像や評価基準を持たない企業では、人材不足がより顕著であり、自社のDXの取組に必要な人材の定義を行い、評価基準を持つことの重要性を示した。
日本企業において、DXの一層の推進が求められる中、DXを推進する人材の不足がその推進のボトルネックとなっている。本稿で示した課題や分析が、DXを推進する企業の取組の参考となれば幸いである。
IPA 総務企画部 調査分析室
2024年7月25日
公開