社会・産業のデジタル変革

DX動向2025-成長のためのDXに求められる取組

IPA調査分析ディスカッション・ペーパー2025-01

公開日:2025年7月16日

独立行政法人情報処理推進機構
経営企画センター 国際・産業調査部 河野浩二

本ディスカッション・ペーパーは、執筆者の見解に基づく内容であり、独立行政法人情報処理推進機構としての公式⾒解を示すものではありません。

要約

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、2025年2月から3月末にかけて「国内外におけるDX推進状況等の分析」(以下、「DX動向2025調査」)を実施し、その結果を「DX動向2025」として公表した。DX動向2025調査では、日本企業(1,535社)、米国企業(509社)、ドイツ企業(537社)のDX(デジタルトランスフォーメーション)取組を調査し、日米独企業間の違いを比較した。
日本企業のDXの取組割合は、前回調査から微増の約8割であり、米国企業と同水準、ドイツ企業を上回る。他方、DXの経営面の成果に対する認識は、日本企業はコスト削減等に関しては、米独企業に比べ高く、DXの成果が見られる一方、売上高増、利益増加等の割合が低く、企業の成長よりも経営の効率化をDXの成果を捉える傾向があることが示された。また、日本企業の成長に繋がるDX(成長のDX)の取組は7割を超えるが、効率化のためのDX(効率化のDX)に取組に比べて成果が出ている割合が相対的に低いことが、調査結果から示された。
わが国の経済成長を図る上では、日本企業においてもDXにより効率化のみならず成長が求められることから、本稿では、日本企業の“効率化のためのDX”“成長のためのDX”に注目した。具体的には、DX取組と成果創出の現状、企業によるDX推進体制や取組施策との相関、米独企業のDXの比較等の分析を行い、成長のためのDXで成果を上げる企業の特徴や求められる取組を分析した。その結果、成長のDXに成果を上げる日本企業は、米独企業の体制や取組に近いこと、成長のDXで成果が出ていない企業との間に体制や経営スタイルに違いがあることが明らかになった。
本稿はDXの取組や体制等と成果有無の相関分析を行っているが、取組と成果創出の因果を分析する上では、それらの要素が成果創出にどのように機能しているのか、どう進めているのか、業種や企業規模等による特性、産業構造の影響等の分析により、DXの取組要素がどのような組織的条件・産業特性のもとで有効に機能するのかについて、縦断的・分野別な検討を重ねる必要がある。その第1段階として本稿で示すDXにより成果を上げた企業の特徴が、DXに取組む日本企業のDX取組における気づきやさらなる取組の参考となれば幸いである。

目次

  1. はじめに
  2. 日米独企業のDXの取組
  3. DXによる経営面での成果
  4. DXの内容別の取組と成果創出の現状
  5. 成長のためのDXで成果を上げる企業の特徴
  6. まとめ
  • 付録 回帰分析によるDXの成果創出の傾向

ダウンロード

関連リンク

お問い合わせ先

IPA 経営企画センター 国際・産業調査部 産業調査室

  • E-mail

    ga-ra-dxwpアットマークipa.go.jp

更新履歴

  • 2025年7月16日

    別表1 DXの取組内容別の取組割合(日米独企業)差し替え

  • 2025年7月16日

    公開