デジタル人材の育成
公開日:2026年6月8日
本プロジェクトは、機械学習と量子アニーリングを組み合わせた手法「FMQA」を活用し、次世代有機半導体のための新規分子骨格を効率的に探索するソフトウェアの開発を目的としている。シリコン等の無機半導体は製造時の環境負荷が高いことが課題だが、有機半導体は低コスト・軽量・柔軟で、室温製造によるCO2削減やレアメタルフリー化が可能である。特に注目される多環芳香族(PHAs)の設計において、ヘテロ原子の配置や結合ネットワークの最適化は数兆通りの「組合せ爆発」を引き起こし、従来の実験や計算では困難であった。本提案では、広大な探索空間から望ましい物性を持つ分子骨格を量子アニーリングで高速に特定する。当初は有機EL用の高性能発光材料をターゲットとし、将来的には有機太陽電池等への展開や、実験科学者が直感的に使えるUXを備えたソフトウェアの社会実装を目指す。
有機ELの青色発光材料におけるボトルネックという明確な社会課題に対し、発光分子のコア骨格探索という巨大な離散組合せ空間の最適化問題を、FMQA(Factorization Machine + Quantum Annealing)によって解くという、量子アニーリングの特性に本質的に適合した優れた提案である。提案者による量子・古典ハイブリッドパイプラインの構想は、量子コンピューティングの現実的な産業応用の姿を先取りするものである。提案者は、量子化学計算・ケモインフォマティクス・アニーリング型/ゲート型双方の量子アルゴリズム実装・機械学習・フルスタック開発という広範な領域を単独でカバーできる稀有な人材であり、FMQAの先行PoCや受賞歴など実績面でも実現可能性は十分に高い。本プロジェクトを契機として、実験化学者が直感的に扱える量子・古典ハイブリッド材料設計SaaSが生まれ、カーボンニュートラル社会の実現に資する量子技術のキラーユースケースが切り拓かれることを大いに期待している。
2026年6月8日
2026年度採択プロジェクト概要(川端PJ)を掲載しました。