デジタル人材の育成

未踏事業ご紹介冊子:コンテンツピックアップ(5)

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未踏事業をご紹介する冊子「MITOU: Ingenious Creators ITで切り拓く未来」から、[特集2]拡がる未踏エコシステムをピックアップしました。

さまざまな分野で活躍する修了生の姿を、インタビューと共に紹介します。

拡がる未踏エコシステム 様々な分野をリードする未踏修了生5 アート&エンタメ

アート&エンタメ

表現の幅や可能性がITで拡がっているアートやデザイン、エンターテインメントの領域でも未踏人材が多数活躍しています。デザインエンジニアリングにより革新的なプロダクトを生み出し続けているTakramでは、創業者の田川欣哉氏のほか、神原啓介氏(2003年度/2005年度)、櫻井稔氏(2007年度)、松田聖大氏(2008年度)らが活動しています。

リアルタイムフェイクビデオ生成アプリ「Xpression」などで注目されるEmbodyMeの吉⽥⼀星氏も未踏修了生です(2007年度)。ウェアラブルなLEDモジュール制御システムの開発に取り組んだ藤本実氏(2009年度)は、LEDを活用したパフォーマンスやイベント演出を手掛けるmplusplusを興して世界的に活躍しています。

Live2D(旧社名サイバーノイズ)の中城哲也氏(2006年度)が開発した「Live2D」は、2D画像を立体的に動かすことができる2Dアニメーションの新たな制作/表現技術として数々の作品に採用されています。

そのほか、ニコニコ学会βの創設など人々の共創的な活動を支援するプラットフォームや企画演出などを手掛ける江渡浩⼀郎氏(2004年度)、iPad用楽譜ビューア「Piascore」を開発する小池宏幸氏(2010年度)、「ウゴウゴルーガ」や「おしりかじり虫」などのアニメーターのうるまでるび氏など、多くの修了生がクリエイティブの領域で活躍しています。

Interview 田川 欣哉氏

田川 欣哉氏の写真

Kinya Tagawa

田川 欣哉氏

株式会社Takram ディレクター
デザインエンジニア

2002年度、2004年度未踏事業採択。東京大学機械情報工学科卒業。デザイン、テクノロジー、ビジネスを駆使して、ハードウェアからソフトウェアまで広範な分野でデザインイノベーションを起こし続けている。グッドデザイン金賞、iF Design Award、Red Dot Design Awardなど多数を受賞。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート名誉フェロー。経済産業省産業構造審議会 知的財産分科会委員。日本デザイン振興会理事。

デザインとエンジニアリングを融合し、世界により多くの素晴らしい変化を起こす

地域経済分析システム「V-RESAS(ブイリーサス)」

Takramにおいて、企業の様々なイノベーションプロジェクトに「デザインエンジニア」という立場でかかわっています。エンジニアリングは技術と向き合って進めますが、デザインは人と向き合います。プロダクトやサービスをユーザーにとって使いやすいものにするために、人にかかわる要因を考慮して技術と適切に組み合わせることが自分たちの役割です。

デザインエンジニアとしてこだわっているのは、自分がプロジェクトにかかわることで起こすことができた、世の中の変化の数やインパクトです。自分が関与しなければありえなかった世界観をより多く生み出すことをミッションとしています。

例えば、最近かかわったプロジェクトに内閣府と内閣官房が提供する地域経済分析システム「V-RESAS(ブイリーサス)」があります。これは新型コロナウイルス感染症が地域経済に与える影響を様々な業界の最新データでわかりやすく可視化し、経済活性化のための施策立案と遂行を支援するものです。開発にはTakramに在籍する未踏スーパークリエータが私を含めて3名参加しており、着手から約1ヶ月で立ち上げました。

日本は今、昭和のスタイルのまま続いてきた政治や社会、企業など全ての仕組みを作り直す時期を迎えています。それには相当なパワーが必要であり、未踏初期世代の私たちも頑張らなくてはいけません。同じ志を持ったデザインエンジニアを沢山育て、仲間たちとともにより多くの素晴らしい変化を起こしていきたいと思います。