デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2026年度採択プロジェクト概要(三田地PJ)

公開日:2026年6月29日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 稲見 昌彦(東京大学 総長特任補佐 先端科学技術研究センター 副所長・教授)

2.採択者氏名

  • 三田地 宏哉(東京大学 大学院工学系研究科 システム創成学専攻)

3.採択金額

  • 3,024,000円

4.プロジェクト名

  • LLMを活用した夢体験デザインエンジンの開発

5.関連Webサイト

6.申請プロジェクト概要

本プロジェクトは、利用者が就寝前にAIとの対話を通じて希望する夢の内容を構想し、LLM(大規模言語モデル)が当該利用者の夢日記、嗜好情報等に基づいて、個別最適化された就寝前体験(物語、情景、音響等)を自動生成するAI Nativeな夢アプリケーションの開発を目的とする。加えて、起床後には音声AIとの対話を通じて夢の内容や印象を記録し、その情報を次回以降の体験設計に反映することで、夢の想起・記録・再構成を継続的に循環させる仕組みの実現を目指す。
本プロジェクトにおいては、夢内容への介入効果の実証を直ちに主目的とするのではなく、まず、利用者が日常的に継続利用したくなる体験価値の高いプロダクトを構築することを優先する。具体的には、夢の記録・可視化、AIキャラクターとの継続的関係性の形成、共有可能な体験設計等を通じて、継続利用を促進するプロダクト価値の確立を図る。その上で、中長期的な発展方向として、脳波(EEG;Electroencephalogram)やその他ウェアラブルデバイスによる睡眠ステージ判定および、就寝前体験と関連付けた音刺激を睡眠中に再生するTMR(Targeted Memory Reactivation)の段階的統合を検討する。ただし、安全性を最優先とし、脳波を用いた介入は昼寝環境に限定し、夜間睡眠への適用ならびに夢内容操作の効果検証については将来的課題として位置付ける。なお、人を対象とする脳波計測、睡眠中の音刺激の再生等の実験は、実施に先立ち倫理審査委員会の承認を取得した上で実施する。
従来、Sleep Techが睡眠の計測を、Dream Journalが夢の記録を主対象としてきたのに対し、本プロジェクトは夢を事前に設計するという新たな体験を提示し、「Dream Design」という新規ソフトウェア領域の創出を目指すものである。

7.採択理由

人間が見る夢を意図的にデザインし共有するというテーマは、古来人々の関心を集めながら、科学的アプローチが容易でない領域として残されてきた。近年、Targeted Memory Reactivationなど睡眠科学の進展によって夢への介入技術が研究レベルで検証されつつあるが、一般のユーザがそれを能動的にデザインできる形では、いまだ十分に実現されていない。
本提案は、LLMを駆動エンジンとし、音や匂い、生体センサと統合することで、ユーザが望む夢の体験をパーソナライズして引き出すことを目指している。提案者は、大学院で関連分野の研究に従事してきたほか、自身でも合同会社を立ち上げ、ハードウェアとソフトウェアを横断する実装と検証を行なってきた。短期間で複数のプロトタイプを動かしている点と、そこから派生する応用イメージの広さが、プロジェクト内容が極めてチャレンジングにも関わらず、リアリティを強く感じさせた。
本プロジェクトは、技術的にも倫理的にも未開拓の領域に踏み込むため、必ずしも完成形に至る保証はない。それでも、夢という個人にとって最も内的な体験をデザインの俎上に載せ、コミュニティを巻き込みながら未知の領域を開拓しようとする姿勢こそ、未踏事業に相応しい挑戦であると判断し、採択とした。

更新履歴

  • 2026年6月29日

    2026年度採択プロジェクト概要(三田地PJ)を掲載しました。