デジタル人材の育成
公開日:2025年6月25日
本プロジェクトでは、芸術文化の研究者やキュレーターが展示や文章を通じて特定の文脈を伝える際に、文脈情報の直感的編集や共有をサポートするプラットフォームを開発する。本プラットフォームによって、ユーザが調査した文献から作家や作品、概念(コンセプトや場所など)の関係性を抽出し、半構造化されたデータを直感的に編集・共有できる仕組みを提供する。これにより、芸術文化領域における関係性の整理や新たな言及を促進し、文脈のアーカイブ化と新たな芸術や文化の動向が創出される環境づくりを行う。
芸術文化領域では、文脈的な価値づけが重要な要素となっている。研究者やキュレーターは文脈に基づく論を作成し、読者や鑑賞者に分かりやすく伝えながら情報をアーカイブすることで、特定の作家や動向に価値を見出してきた。しかし、このプロセスを遂行する上では、大量の文献から関係性を整理する労力や、それを分かりやすく視覚化して伝えるための可視化技術の習得など、複数の課題が存在する。
この複合的課題を解決するため、下記4点の実現を目指す。
本プラットフォームによって芸術文化領域での調査から発表までの人手の負担を軽減しつつ、文脈がアーカイブされることで、文脈が活発に編集され、作家や芸術動向に新たな価値が見出されていく環境の創出を目指す。
芸術の文脈化は、専門分野の細分化とその多角的・学際的拡張によって、近年ますます困難さを増している。個々のキュレーターが備える専門性は、同時に複数分野を俯瞰しつつ文脈を紡ぐことを困難にし、作家自身が結晶化させてきた芸術概念も、今後ますます乖離と断片化を繰り返すだろう。そのような時代的限界に対し、本プロジェクトは言語モデルという現代的手法で果敢に立ち向かおうとしている。提案者の持つ芸術に対する視座、すなわち表象と文脈形成の構造的変化を見据えつつも、芸術そのものと真摯に対話を続ける姿勢に惹かれた。芸術をライフワークとして向き合う彼の挑戦は、今後の文化的文脈の新たな形成に大きく寄与する可能性を秘めており、本提案を採択とした。
2025年6月25日
2025年度採択プロジェクト概要(松野PJ)を掲載しました。