未踏IT人材発掘・育成事業：2025年度採択プロジェクト概要（田中宇宙PJ）

1．担当プロジェクトマネージャー

• 稲見 昌彦（東京大学 総長特任補佐 先端科学技術研究センター 副所長・教授）

2．採択者氏名

• 田中 宇宙（北見工業大学 大学院工学研究科 工学専攻 情報通信工学プログラム）

3．採択金額

• 2,880,000円

4．プロジェクト名

• 独りでも楽しめるギター練習支援XRアプリケーション

5．関連Webサイト

• なし

6．申請プロジェクト概要

本プロジェクトでは、HMD（Head Mounted Display）を活用することで、ギター初心者が独りでも仮想的なバンドメンバーと共にリアルな合奏を楽しみながら、効果的かつ継続的にギター練習ができるXRアプリケーションを開発する。具体的には、ユーザが練習する楽曲をユーザのスキルに合わせて自動で簡素化・譜面化する機能、バーチャルハンドを用いてコードの押さえ方をユーザに可視化・提示する機能、そしてMR・VR空間で仮想バンドメンバーと合奏・ライブ体験ができるようにする機能を実装する。AI・音源分離技術・LLMを統合的に活用し、従来のギター練習アプリケーションにはない直感性・没入感・モチベーション維持を実現することで、ギター初心者の挫折率を改善する。本アプリケーションのギター練習を「孤独な修行」から「楽しいエンターテイメント体験」へと転換するアプローチによって、生涯楽しめる音楽文化の形成に貢献することを目指す。

7．採択理由

VR技術を活用した楽器演奏などのスキルトレーニングは、これまでにも多数提案され、一定の成果をあげている。しかしながら、多くは即時的な習熟度の評価やユーザビリティの検証にとどまり、ユーザがいかに練習を継続できるかという、中長期的なモチベーション維持に焦点を当てた研究は限られているのが現状である。
本提案は、ひとりで練習を行う際の心理的・行動的なボトルネックを明確に捉え、北海道版未踏プログラム「新雪」で支援を受けた試作を経ている点が高く評価できる。提案時点で既に実動プロトタイプによる検証が行われていたことからも、提案者の熱意と実現性の高さを強く感じた。
ユーザが自発的に継続したくなるスキルトレーニングシステムの実現に向けた本プロジェクトの発展を期待し、採択と判断した。