デジタル人材の育成
公開日:2025年6月25日
本プロジェクトは、議論にありがちな「脱線しがち」「結論が出ない」「一部の人しか話さない」といった課題を解決するためのファシリテーションを支援するシステムを開発する。
多くの企業やチームでは自動文字起こしや要約Botを導入し始めているが、それらはリアルタイムに議論を最適な方向へ導くためのツールとしては不十分である。また、株式会社識学が2025年1月に行った20代から50代の会社員に対する調査によれば、会議に対し「意味がなかった」と感じた人が75%に上るなど、会議でのファシリテーションの不備や結論の曖昧さなどに対する不満が根強い状況がある。
そこで本プロジェクトでは、議論の進行そのものを支援するシステムを開発する。具体的には、「議論のリアルタイムなビジュアル構造化」機能で、飛び交う発言を即座に解析し、グラフィックレコーディングのような形式で、論点を直感的に理解できる“議論ビジュアル”として提示する。加えて「エージェントによるナレッジ参照と話題提案」機能で、AIエージェントが事前に登録・取得された背景情報を参照し、関連ドキュメントの提示、論点の抜け漏れのチェック、さらには議論を収束させる提案までを、その場にふさわしいキャラクターを通じて行うことで、最適なファシリテーションを支援する。これらの機能により、単なる議論の事後要約にとどまらず、議論“中”に適切な情報整理と意思決定を促進する。結果として、参加者全員の理解度と生産性を飛躍的に高め、「質・弾みの良い議論の場」を形成することを目指す。
AIを活用した会議支援システムはすでに数多くの研究・サービス事例が存在しており、ある種レッドオーシャンといえる領域である。しかし、本提案はクリエータ自身が既存サービスに抱いた違和感を起点としており、極めて等身大かつ現実的な視点から問題に切り込んでいる。
提案時点でプロトタイプ制作およびユーザテストが実施されており、「リアルタイムに議論を整理し、参加者全員が共通認識を持つこと」の本質的な重要性を明らかにしている点を高く評価する。
今後、競合サービスが多数登場することも予想されるが、提案者のフットワークの軽さと、柔軟にプロジェクトの方向性を調整できる点を考慮し、将来的な発展への期待も込めて採択と判断した。
2025年6月25日
2025年度採択プロジェクト概要(田中魁PJ)を掲載しました。