デジタル人材の育成
加藤 和彦(筑波大学 大学院システム情報工学研究科 教授)
チーフクリエータ
福盛 秀雄(株式会社サルガッソー 開発部 社員)
コクリエータ
なし
人間計算(Human Computation)あるいは人間グリッド計算機とは、計算機の構成ノードを論理素子ではなく人間の脳とみたて、何百万人もの人間の脳をネットワークで結合させることによって、望むべき計算を実現させるという技術である。人間計算の実現に当たっては十分な数のユーザが必要であり、そのためのインセンティブをどのように与えるかが大きな課題となる。
一方、そのような非常に多くのユーザが集まっている場の代表としてはソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)がある。SNSに集まるユーザの人的リソースを活用することで、より効果的な人間計算を実現できる可能性が開かれる。
本提案では、SNSにて近年サポートが進んでいるソーシャルアプリに着目し、そこでゲームを遊ぶユーザのアクションを利用して、画像検索エンジンのレイティング(検索結果表示順序)を改善させていくという人間グリッド計算機の開発を行う。
このことによって、ユーザはゲームをして遊んでいるだけなのに、結果としてちょっとした仕事をしてしまうというゲームプレイ・ワーキングの実現を目指す。
コンピュータに解きにくい問題を、多数の人間を使って計算させるという大胆なアプローチである。まさにグリーンITへの「未踏的」アプローチといえよう。突飛とも受け取られかねないアイデアを、この分野の近年の進展を踏まえながら説明しており、feasibility studyも十分になされていると判断できる。
細部においては、さらに検討が必要と思われる部分もあるが、本事業の「育成」により十分に対応可能であると考えられるため、採択と判定した。