デジタル人材の育成
公開日:2026年6月30日
本プロジェクトは、治験の長期化や失敗の原因となっている「適格な候補患者の発見」と「登録後の継続参加支援」という課題を解決するため、疾患情報・治験情報を統合解析し、医師・治験コーディネーターの意思決定を支援するAI・ナレッジグラフ統合型の治験支援基盤の開発を目的とする。具体的には、疾患に関わる様々な情報間に存在する関係性を構造化する。さらに、治験プロトコルに含まれる条件等を統合し、個人情報を含まない疾患・治験ナレッジグラフを構築する。患者情報は医療機関の管理下に留め、実利用時には、院内で入力・参照された患者属性がナレッジグラフ上のどの疾患関連属性や治験条件と結びつくかを照合する。これにより、治験条件との照合度を可視化し、候補となる治験の優先度を参考指標として提示するとともに、医師・治験コーディネーターが確認すべき項目を整理する。
また、LLMを活用し、候補治験の提示に至った理由を患者属性と治験条件・疾患知識との関係性として根拠付きで提示することにより、AIの出力をブラックボックス化せず、医師や治験コーディネーターが根拠を確認しながら活用できる治験候補者選定を実現する。初期段階では特定の疾患を対象とするが、将来的には様々な疾患領域へ展開し、治験の立ち上がりを早め、新薬をより早く適切に患者へ届けるための「次世代の創薬インフラ」としての社会実装を目指す。
治験領域では被験者選定の複雑化や属人化が深刻な課題となっているが、本提案はAIとナレッジグラフを統合し、治験候補者選定を経験頼みから構造化へ転換して効率化を目指す点に高い未踏性がある。特に、患者データ・治験条件・疾患知識を横断的に関連付け、適合理由やリスクを説明可能な形で提示するアプローチは、単なるLLM活用に留まらず医療現場での実用性も強く意識されている。
また、提案メンバーは生成AI・ナレッジグラフ・プロダクト実装において専門性を持ち、医療現場へのヒアリングや論文実績などからも開発実現性の高さが感じられる。治験の立ち上がり速度や患者到達率の改善は今後の新薬開発スピードを大幅に上げるため社会的意義も大きく、採択期間中にはPoCに留まらず、実運用を見据えたプロダクトとして完成度を高めて欲しい。
2026年6月30日
未踏アドバンスト事業:2026年度上期実施プロジェクト概要(木口・石井・金木PJ)を掲載しました。