デジタル人材の育成

未踏アドバンスト事業:2025年度上期実施プロジェクト概要(野崎・上田PJ)

公開日:2025年6月30日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 藤井 彰人(ふじい あきひと)
  • KDDI株式会社 執行役員 先端技術統括本部長 兼 先端技術企画本部長

2.採択者氏名

  • 野崎 愛(東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻)
  • 上田 蒼一朗(京都大学大学院情報学研究科)

3.契約金額(税抜)

  • 16,000,000円

4.プロジェクト名

  • オンプレと連携可能な Wasm に特化したクラウドサービス

5.関連Webサイト

  • なし

6.プロジェクト概要

本プロジェクトではオンプレミス環境に存在するIoTデバイスやエッジデバイスと連携可能な、WebAssembly(Wasm)に特化した実行環境を提供するクラウドサービスを開発する。Wasmとはバイナリコード形式の一種であり、軽量さやOS・CPUアーキテクチャを跨いだポータビリティといった利点を持っている。これらの性質によりWasmは環境の差異を吸収する次世代のアプリケーションの配布形式として期待されているが、実際にそのようなシステムを実現する構成やユースケースは十分に確立していない。
本クラウドサービスは、ユーザーのオンプレ環境にあるIoT・エッジデバイスとクラウド上のインスタンスを統一的に管理し、クラウド・エッジ・IoTが連携するシステムの構築をサポートする。本クラウドでは、クラウド上でのWasmに特化したインスタンスと、ユーザのオンプレのデバイスを同一のクラスタに参加可能な構成をとる。具体的にはK3sという軽量なKubernetesディストリビューションを活用する。ユーザーは各環境のワークロードをシームレスに管理でき、それらがオーバーレイネットワークで接続され、容易にスケール可能となる。さらに、クラウド上のインスタンスとしては、我々が独自に開発したWasmに特化したOSを用いる。これは単一のWasmアプリケーションを動かすために必要最小限の機能のみを備えた軽量なOSとして設計している。そのため、仮想マシン上で隔離性を保ちつつ、ゲストOSによるオーバーヘッドの削減を実現する。以上のようにクラウドからエッジ・IoTまでをWebAssemblyとKubernetesで抽象化する基盤を創出する。

7.採択理由

未踏IT人材発掘・育成事業で開発したWebAssembly(Wasm)を実行するUnikernel Mewzをマネージドサービス化しようとする提案。
言語、OS/CPU比依存で注目されているWasmを、エッジやIoTデバイスを含む分散クラウド環境で活用することで、従来にはないアプリケーションの実現が可能になり、モビリティやエッジAIやIoTサービスの高度化が期待される。
本提案の事業化への道筋はまだ描けていないものの、海外クラウド、CDN事業者でのWasm事業検討などは進んでおり、未踏アドバンスト事業でこれを支援すべきと考え採択した。開発・実装能力は十分と考えており、未踏アドバンスト事業での大きな飛躍を期待したい。

更新履歴

  • 2025年6月30日

    2025年度上期採択プロジェクト概要(野崎・上田PJ)を掲載しました。