デジタル人材の育成

2025年度未踏ターゲット事業(リザバーコンピューティング技術を活用したソフトウェア開発分野)採択プロジェクト概要(熱田PJ)

公開日:2025年5月28日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 香取 勇一(公立はこだて未来大学 システム情報科学部 複雑系知能学科 教授)

2.採択者氏名

  • 熱田 洋史(大阪大学 先導的学際研究機構附属共生知能システム研究センター 特任研究員)

3.採択金額

  • 3,960,000円

4.プロジェクト名

  • ロボットのリアルタイム学習を可能にするリザバーコンピューティングソフトウェアの開発

5.応募枠

  • 通常枠

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請プロジェクト概要

本プロジェクトは、多自由度ロボットのリアルタイム学習を実現するリザバーコンピューティング(RC)ソフトウェアの開発を目的とする。RCは高速かつ効率的な機械学習手法として期待されているが、機械学習分野で広く普及しているPython言語で大規模なネットワークを実装した場合、計算速度がボトルネックとなり、リアルタイム性が求められるケースにおいて期待される性能を発揮できないという課題がある。
本プロジェクトでは、この課題を解決するため、JITコンパイル技術の導入やGPUを活用した並列計算処理の最適化により、Python環境下におけるRCの計算速度を大幅に向上させる。具体的な開発目標として、ロボットアームの運動をリアルタイムに学習するRCモデルを構築し、ロボットの制御システムに統合することでオンライン学習を実現する。また開発するソフトウェアは、RCモデルの各構成要素を再利用しやすいコンポーネントとして提供するライブラリとして開発する。
これによりネットワークの深層化や非線形性の導入など、より高度なRCモデルの設計と検証を容易にし、柔軟な拡張性と高効率な計算性能の両立を目指す。開発したソフトウェアはオープンソースとして公開・配布することで、学術研究および産業界におけるRC技術の幅広い活用を促進し、RC技術の応用展開と実用化に貢献することを目指す。

8.採択理由

本提案は、リザバーコンピューティングという人工知能技術をロボット分野へ応用しようとするもので、今後の知的なロボットやシステムの発展において重要な役割を果たすと考えられています。特に、状況の変化に素早く対応できるロボット制御の仕組みを作る上で、リザバーの持つ柔軟な情報処理の仕組みは非常に有効です。本プロジェクトでは、ロボットが迅速に反応できるように、リアルタイムでの情報処理を可能にする計算手法の高速化にも取り組んでおり、応用面での価値が高いと評価されています。
この研究を通じて、リザバーコンピューティングが実際のロボットに搭載され、実用化されるための具体的な道筋が示されることが期待されます。基礎研究と実用化の両方をバランス良く進める提案であり、今後の成果が大変楽しみなプロジェクトです。

更新履歴

  • 2025年5月28日

    2025年度採択プロジェクト概要(熱田PJ)を掲載しました。