デジタル人材の育成
石黒 浩(大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻 教授)
チーフクリエータ
河部 恒(株式会社神戸デジタル・ラボ ICTソリューション部 社員)
コクリエータ
なし
現在のパーソナルコンピュータにおけるデータはファイルという単位に分割 され、ツリー構造として保存されるのが一般的である。ユーザが必要なファイ ルを探すとき、このツリー構造をtopルートから展開するか、名前による検索を 行う必要があるが、目的のファイルに当たるまでに時間を要する場合も多い。
その理由として、ツリーはあくまで論理的な構造であるため記憶しがたく、 また適切な名前をつけることは難しいからである。
一方これが書籍であれば「この内容は本の最後のほうのページの右上あたりに書いてあった」という形で記憶することができる。この方法で記憶している場合、人間の空間的認知を利用しているため記憶の再現性が高いと考えられる。
本システムではこの空間的認知を利用して、ユーザが必要な情報をよりすばやく、心理的負荷の低い方法で見つけることを実現する。
具体的にはディスプレイ上の絶対位置、あるいは携帯端末による方位・傾きセンサーによる入力を利用して、位置に対して情報をマッピングすることで行われる。 このシステムは従来のパーソナルコンピュータにおけるデータの保存の概念を変える画期的なインターフェースとなりうるだろう。
携帯端末の方位、加速度、傾きセンサーの情報を利用し、パソコン上の情報を空間的に配置し、ユーザーが直感的にすばやくパソコン上の情報を見つけ出すインターフェースを開発するものである。厳密には類似のアイデアはあるが、それら既存のものよりも実用性、発展性があり、本人の能力と発想力でより新しいシステムが完成できると期待される。