デジタル人材の育成

未踏アドバンスト事業:2020年度実施プロジェクト概要(前田PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

原田 達也(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)

2. 採択者氏名

  • 前田 紘弥(株式会社アーバンエックステクノロジーズ 代表取締役社長)

3.契約金額

  • 6,400,000円

4.プロジェクト名

  • ドライブレコーダー型路面性状検査システムの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.実施プロジェクト概要

道路は生活に欠かせない最重要インフラであり、人々の安全を守るため適切な維持管理を実施していく必要がある。しかしながら、日本の道路延長は120万kmと膨大であるにもかかわらず、高齢化に伴う専門職員の引退により、道路管理の専門家がいない自治体が約30%あり、また、専用車両による道路点検はコストがかかりすぎるため、網羅的な点検はコスト面で難しいというのが現状である。
イノベータは、2016年度よりスマートフォンやドライブレコーダーのみで道路損傷をリアルタイムに検出するシステムの構築に取り組んできた。しかしながら、現在の仕組みでは、危険な損傷箇所全てを検出するのみにとどまっており、長期的な修繕計画の策定の際に用いられる「ひび割れ率」の算定ができていないという課題がある。
本プロジェクトでは、従来レーザースキャナやラインカメラを搭載した専用車両で計測していた「ひび割れ率」を、一般的な乗用車に後付け可能なスマートフォンやドライブレコーダレベルの簡易デバイスのみを用いて算出するシステムを開発する。これまでデジタルカメラ等を用いてひび割れ率を算出する研究は多く報告されているが、カメラの設置位置やカメラパラメータが固定であるという仮定を置くことが多かった。本プロジェクトでは、これまでの研究で前提とされてきた仮定を置かず、カメラパラメータが変動する車載カメラのみを用いて「ひび割れ率」を算出するシステムの開発を目指す。
また、いくつかの自治体において、開発したシステムと専用車両による点検結果を比較することで、開発したシステムが実用水準に達しているかを検証するとともに、市場への提供方法を検討し、道路の安全性を高めることに貢献することを目指す。

7.採択理由

本プロジェクトは、車に取り付けたスマートフォンやドライブレコーダなどの簡便な画像取得デバイスから計測されるデータからひび割れ等の路面状況を定量化するシステム構築を目的としている。現状では、点検費用が高額なために一部の道路の点検にとどまっており、本提案システムにより網羅的に道路の路面状況が定量的に評価できるのであれば、適切な道路修繕計画にも役立ち、社会的意義は大きいと思う。
また、提案者はすでに⼤規模道路損傷データセットの公開や、路面評価システムのプロトタイプを構築した実績もあり、実現可能性も高いと考える。以上より、本プロジェクトは未踏アドバンストに相応しいと考え採用とする。