デジタル人材の育成

コニカミノルタ株式会社 川﨑 健様 インタビュー

公開日:2025年11月6日

最終更新日:2025年11月6日

コニカミノルタ株式会社 川﨑 健様

  • コニカミノルタ株式会社 川﨑 健様

医療現場のスマート化と、命を守る情報管理をともに進化させる

医療情報の安全な利活用が求められる今、情報処理安全確保支援士(以下、登録セキスペ)の役割はますます重要になっています。コニカミノルタ株式会社ヘルスケア事業本部エキスパート(部長)の川﨑 健様は、医療機器プラットフォームを基盤に、スマートクリニックの推進や新サービスの設計を担当。登録セキスペとして、情報セキュリティを設計思想の初期段階から組み込み、現場の言葉でリスクを共有する姿勢を貫いています。国内外の開発連携においても、情報セキュリティを“信頼の共通言語”として活用し、医療DX・病院DXの未来を支えています。

Q 資格取得のきっかけと目的を教えてください。

私は、情報系の大学卒業後に入社したITベンダーで金融システム開発を経験し、転職した電力系システム会社で社会インフラのシステム開発に携わりました。その後、医学系大学院博士課程で医療情報の研究に従事し、理論的な知見を深めました。実務では、病院向けのリスクマネジメントシステムに携わる機会を得て、医療情報管理に内在する脆弱性や、損害発生の可能性を孕む危険性の実態を幾度となく目の当たりにしました。予想を超える現場の実態に、静かな衝撃と深い危機感を覚えたことを今も鮮明に記憶しています。

医療情報の安全管理に対する強い問題意識を抱いたことをきっかけに、「命に関わる医療情報を、より安全に管理できる仕組みづくりに貢献したい」という切実な思いが高まりました。そこで情報セキュリティスペシャリスト資格を取得し、制度改正後には情報処理安全確保支援士として登録しました。技術・法務・倫理の各分野を横断的に学ぶ中で、情報セキュリティを単にルール通りに「守る」だけでなく、命を守る医療情報を安全に扱うためのシステムを、自らの創意を加えて「設計する」という意識が芽生えたことは、私のキャリアにおける大きな転機となりました。

Q 現在、ヘルスケア事業本部において、どのような役割をご担当されていますか?

コニカミノルタ株式会社 川﨑 健様

現在、コニカミノルタ株式会社ヘルスケア事業本部にて、医療機器プラットフォームを基盤とした新たな価値創出に取り組んでいます。スマートクリニック(診療所のDX化)事業の拡大に加え、医療現場の課題解決につながる新たなサービスの企画・設計を担当しています。
社内外のパートナーと連携しながら、医療DX・病院DXを支えるソリューションの実装を推進しており、こうした取り組みの根底には、医療データの安全な利活用が不可欠です。「見える化」を通じて、現場が抱える多様な課題の解消に努めています。

Q 資格の活用事例を教えてください。

医療分野では、厚生労働省・経済産業省・総務省による「3省2ガイドライン」が整備されており、医療情報システムの安全管理やクラウド活用に関する基本指針として機能しています。これは、医療機関と事業者の双方を支える重要なルールです。

かつてはハードウェア中心だった医療機器開発も、近年では医療DXや生成AIの普及を背景に、ソフトウェアやサービスを含むソリューション全体で価値を提供する方向へとシフトしています。製品単体の性能だけでなく、医療現場のワークフロー全体にどれだけ貢献できるかが問われる時代です。

登録セキスペとして意識しているのは、「情報セキュリティを設計思想の初期段階から組み込むこと」、そして「現場のメンバーが理解できる言葉でリスクを共有すること」です。技術・コスト・利便性・安全性のバランスを取りながら、安心して使える仕組みを共に考え、現場に根差したセキュリティの実現を目指しています。

Q 海外の開発現場と協働する際、情報セキュリティや品質管理で意識されていることは?

ベトナムのソフトウェア会社と一緒に、オフショア開発を進めたことがあります。日本国内で提供しているサービスを共に構築していくためには、日本の個人情報保護法など、関連する法制度への理解を深めていただくことが重要です。
仕様策定やレビューの場では、文化や言語の違いから情報セキュリティ要件の理解に差が生じたり、認識が食い違うこともあります。そうした場面では、共通のリスク意識を持てるよう、背景や目的を丁寧に共有することを心がけています。
情報セキュリティは、国境を越えて通じる共通言語であり、信頼関係を築くための基盤であると実感しています。

Q オンライン講習、実践講習の受講を通じて、活かされていることがあれば教えてください。

オンライン講習や実践講習は、最新のトレンドや攻撃事例を体系的に振り返る年次の機会として活用しています。日々の業務に直結しない内容も含まれますが、自身の取り組みを俯瞰し、社会全体の変化を捉える場として非常に有意義です。こうした学びを通じて、登録セキスペとしての視野が広がり、社内における啓発活動や議論の質の向上にも貢献しています。

Q 若手社員が情報セキュリティ分野で成長するために、どのような関わり方をされていますか?

コニカミノルタ株式会社 川﨑 健様

最近、社内のメンター制度に登録し、若手社員から「情報セキュリティを学びたい」との相談を受け、継続的な支援を行っています。こうした対話を通じて、知識の伝達以上に、姿勢や思考の在り方を共有することの重要性を強く感じています。資格は、そうした姿勢を示す“背中”としての役割も果たしており、若手社員から情報処理安全確保支援士資格について尋ねられた際には、「サイバーセキュリティ分野唯一の国家資格として、特に推奨できるもの」として紹介しています。

Q 情報処理安全確保支援士資格に興味を持つ方へ、取得のメリットや魅力についてメッセージをお願いします。

登録セキスペは、技術や知識を「誰かの安心」や「組織の信頼」へと昇華させる役割を担う資格だと捉えています。私は、前身である情報セキュリティスペシャリストから本資格へ移行した際、「安全」という言葉が加わったことの意味を深く実感しました。情報セキュリティは、単なるルールの押し付けではなく、相手の「安全」を共に築き上げていく営みであるべきだと考えています。