デジタル人材の育成

東北電力株式会社 新谷 俊夫様 インタビュー

公開日:2025年6月19日

最終更新日:2025年6月19日

東北電力株式会社 新谷 俊夫様

  • 東北電力株式会社 新谷 俊夫様

現場で求められる“信頼される対話力”を、資格で裏付ける

発電所のサイバーセキュリティを担う中で、専門知識の必要性を痛感した東北電力株式会社の新谷 俊夫様。
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の資格取得を通じて、社内外からの信頼を高め、実務に直結する知識と判断力を磨いてきました。
今回は、資格取得の背景や実務への活かし方、今後の展望についてお話を伺いました。

Q 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の資格に出会ったきっかけや目的について教えてください。

東北電力株式会社 新谷 俊夫様

発電所のサイバーセキュリティ業務に従事する中で、メーカーや官公庁の方々と対話する機会が多くありました。その中で、専門知識の差を痛感し、共通の技術的理解を持ち、対等に議論できる力の重要性を強く感じました。そこで、登録セキスペの資格取得を目指すことを決意しました。

情報処理安全確保支援士試験の内容は、応用情報技術者試験に合格していても容易に合格できるものではなく、計画的かつ継続的な学習が求められました。また、資格の維持には講習受講料などの費用も発生するため、会社からの補助を得るための働きかけも行いました。

実際に資格登録する前には、国家資格「情報処理安全確保支援士」がわかる!説明会への参加や、登録セキスペの方々のインタビュー記事を参考に情報収集を行い、業務にも十分に活かせる価値があると確信できたため、迷いなく取得に踏み切ることができました。

今後も継続的に学びを深め、信頼される専門人材として成長していきたいと考えています。

Q 登録セキスペの資格を持っていて良かったと思えたエピソードは何かありますか?

登録セキスペの資格取得後、社内外で「話の分かる相手」として信頼される場面が増えました。

特に、ITとOTが混在する発電所のような現場では、両者の構成や運用の違いを理解し、リスクを適切に評価できる点が高く評価されています。このような環境では、セキュリティ対策の成否が停電や事故、さらには社会的混乱に直結する可能性があり、自分の仕事がリアルタイムで社会に影響を与えていることを強く意識しています。

現在はDX推進の立場で、クラウドを含む多様なサービスのセキュリティ審査に携わっており、資格取得を通じて得た体系的な知識と実践的な視点が日々の業務に大いに役立っています。

Q オンライン講習を受講して、特に何が勉強になりましたか?

オンライン講習では、登録セキスペとして組織内で果たすべき役割や求められる倫理観について、改めて深く考える貴重な機会となり、大変有意義でした。これまでの業務ではトップダウン型のコミュニケーションが中心でしたが、それだけでは不十分であることを実感し、関係部署との連携を重視した対話と、倫理的な判断の重要性を再認識しました。

また、セキュリティ関連の法令やガイドラインの体系を学ぶことで、業務上の課題に直面した際に、何を根拠に判断し、どのように行動するべきかという明確な指針を得ることができました。

Q 実践講習の内容をどのように業務に活かしていきたいですか?

東北電力株式会社様 業務シーン

実践講習はまだ受講していませんが、これまでにインシデント対応訓練のシナリオ作成や、シミュレータを用いた演習訓練に参加した経験があります。
これらを通じて、現場での初動対応や技術的な分析力はある程度身につけてきました。
一方で、実践講習で扱われるような経営層への報告や倫理的判断といったスキルについては、まだ十分とは言えません。

今後は実践講習を通じて、そのような実務的な対応力を養い、より幅広い業務に活かしていきたいと考えています。特に、OT環境が混在する現場における対策について学べる講習があれば、ぜひ参考にしたいと思っています。

Q 資格を活かして、今後挑戦してみたいことはありますか?

DX推進が加速する中で利便性や効率化が注目される一方、セキュリティ対策が後回しにされてしまうケースも少なくありません。

情報処理安全確保支援士として、そのようなリスクに対する意識を高めるため、社内の啓発活動や教育に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

また、講習や実務を通じて得た知見を活かし、技術領域とマネジメント領域の両面に視野を広げ、より多角的な視点で組織のセキュリティ向上に貢献できる人材になれるよう努めていきたいです。

Q これから資格を取ろうと思っている人へのメッセージをお願いします。 

昨今はサプライチェーン全体でセキュリティ意識を高めることが求められており、ユーザー企業であってもベンダーと対等に連携し、主体的にセキュリティ対策を進める姿勢が重要になっています。

そのような中で、登録セキスペは専門的な知識と実践力を兼ね備えた存在として、社会における役割が一層重要になっています。すでに業務でセキュリティに関わっている方はもちろん、これから学び始めたいという方にも大きな価値がある資格です。ぜひ挑戦してみてください。