デジタル人材の育成
本プロジェクトでは、自然に存在するほとんどの物体が光を散乱させることに注目して、これまでに存在しなかった空間・波長・時間情報が撮影可能なカメラを開発する。近年、コンピュテーショナルフォトグラフィとして注目される分野では、光の散乱現象を利用して霧を除去する研究や材質分類をする研究が行われている。しかし、これまでの研究は光の時間方向の変化を解析した研究がほとんどであった。
そこで本プロジェクトでは、最近普及しているTime of Flight(ToF)カメラが光の飛行時間を計測するためにナノ秒単位で撮影が可能なことを利用して、光源を複数の波長方向に拡張することで光の空間・時間変化や波長を計測することができる高次元センシングカメラと、それを利用した物体の密度・温度・材質などの物理的な値を計測するアプリケーションを開発する。本システムにより、光学現象の解析における空間・波長・時間情報の同時取得という新たな手段を実現する。
これまでにないカメラを作ろうという提案である。多数の波長と光の伝搬時間、つまり、色とカメラからの距離を同時にセンシングできるカメラである。ソフトウェア、ハードウェア、果ては光学系まで含む大変チャレンジングなテーマである。当面は、暗室が必要といった制約はあるかもしれないが、アプローチの有効性を示すことができれば、そうした問題は続く誰かがあっという間に解決していくことだろう。