デジタル人材の育成

未踏アドバンスト事業:2025年度上期実施プロジェクト概要(大嶋・大嶋PJ)

公開日:2025年6月30日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 平野 豊(ひらの ゆたか)
  • 平野リサーチラボ 代表

2.採択者氏名

  • 大嶋 友香子(フリーランス)
  • 大嶋 悠司(フリーランス)

3.契約金額(税抜)

  • 16,000,000円

4.プロジェクト名

  • 大型六脚ロボットによる適応的行動獲得システムの開発

5.関連Webサイト

6.プロジェクト概要

近年、ロボットの行動をシミュレータ上の強化学習で獲得し、実機に適用するSim2Realが成功を収めている。この成功の要因の一つは、シミュレーションと実機の誤差が少ないQDD(Quasi-Direct Drive)ブラシレスDCモータである。QDDモータは、リアルタイムで正確なトルク値を取得できる利点がある。しかし、QDDモータは発展途上であり高トルク化が難しく、Sim2Realで成功しているロボットも4脚や2脚が中心である。そのため、可搬重量に限界があり、機体を大型化できないという課題があった。
本プロジェクトはこの課題を克服するため、QDDモータ技術と6脚ロボットを融合させる。6脚構造は自重を分散させることで可搬重量を増大させる。
さらに、従来のモータではマニピュレータと脚を兼用する構造は故障しやすく困難であったが、QDDモータは堅牢なため6脚構造において6本の脚のうち2本をアームとして兼用する構造が可能である。これは4脚に2本のアームを搭載する場合と比較し、歩行時にもマニピュレータを有効活用できる点で効率的である。
そしてそのような安定かつ多様な動作が可能なロボットの行動を、シミュレータ上での強化学習により獲得する。
このアプローチにより、Sim2Realを応用した多脚ロボットの新たな可能性を切り開き、実世界での応用をさらに推進することを目指す。

7.採択理由

6脚歩行による極限作業ロボットの開発提案。8脚による同様の極限作業ロボットの開発は旧東工大でも進められているが、自由度が少ない分、制御の技術難易度は高い。ハードウェアに関しては既に防水性や機敏さに優れたプロトタイプ作成に着手しており、現在の会社を辞めてこのプロジェクトに取り組むなど、意気込みは高い。課題は、少ない自由度での制御性能の確保で、Sim2Realによる強化学習などの検討が必要と思われ、指導していきたい。

更新履歴

  • 2025年6月30日

    2025年度上期採択プロジェクト概要(大嶋・大嶋PJ)を掲載しました。