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未踏ターゲット事業:2021年度採択プロジェクト概要(木村PJ)

最終更新日:2021年5月28日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 山本 直樹(慶應義塾大学 量子コンピューティングセンター センター長/理工学部 物理情報工学科 教授・博士(情報理工学))

2.採択者氏名

  • 木村 友彰(電気通信大学 大学院)

3.採択金額

  • 2,520,000円

4.プロジェクト名

  • 量子回路設計に向けた量子部分観測マルコフ決定過程(Q-POMDP)手法の開発

5.応募枠

  • 通常枠

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請プロジェクト概要

量子回路の設計は、古典コンピュータを用いて行う場合シミュレーションにより最適化を行うので、量子ビットの数が多くなると計算量が指数的に増えてしまうという問題がある。そのためより多くの量子ビットに対して回路設計を考えるためには実機の量子コンピュータを使うことを考える必要がある。

具体的には、最適な行動を学習するフレームワークである強化学習を用いて回路を設計することを考える。特に量子コンピュータ実機を使うことを考えた場合量子状態は完全に観測することができないため、不確実な環境での最適行動を学習する部分観測マルコフ決定過程(POMDP)を用いて最適化を行う。先行研究として量子におけるPOMDPの理論QOMDPが提案されたが、具体的な実装例は提案されなかった。

本プロジェクトでは量子回路設計のための量子POMDP手法を開発・実装し、シミュレータ,実機を用いて回路設計を行い、開発手法の性能を評価する。具体的な手順としては、最初にまず1量子ビットの制御問題を量子POMDPにより解くことを考え、提案手法の実装を行う。次に問題を複数量子ビットに拡張し、GHZ状態のような決まった出力状態を出力する回路設計、任意の出力状態を出力する回路設計を行う。最後に実機量子コンピュータを活用して回路設計を行う。

8.採択理由

所望の量子状態変換を達成する実量子回路を部分観測マルコフ決定過程で定式化するという新しく面白い提案である。アイデアを具現化する過程で機械学習に関する知見を積極的に活用する必要があり、分野の掛け合わせにも価値がある。

更新履歴

  • 2021年5月28日

    2021年度未踏未踏ターゲット事業:木村プロジェクト概要を掲載しました。