デジタル人材の育成

6.ITスキル標準とは -キャリアフレームワーク

ITスキル標準V3 2008のキャリアフレームワーク

ITスキル標準では、IT技術者を「SE」、「プログラマ」といった名称で包括的にくくるのではなく、ビジネスの実状に沿うように職種や専門分野を分類定義し、それぞれレベルに対して個人のスキルを評価する尺度を多面的に提供しています。

ITスキル標準では、職種を「コンサルタント」や「プロジェクトマネジメント」、「ITスペシャリスト」など11の職種に分類し、各職種ごとに全部で35の専門分野を設けています。また、それぞれの専門分野に対応して、IT技術者個人の能力や実績に基づいて7段階のレベルを規定しています。7段階のレベルは、英国のスキル標準である「SFIA(Skills Framework for the Information Age)」などを参考に定められました。職種/専門分野によっては、プロフェッショナル個人として価値を創出するにはいたらない下位レベルが空白となっているものがあり、また、価値を創出するために必要なスキルの上限以上の上位レベルが空白となっているものがあります。本スキル標準で表現しているのは、あくまでも、プロフェッショナルとして価値を創出するために必要なスキルの度合いであり、それぞれの職種/専門分野におけるサービスの価値の大小や組織内における職責のレベルを表現しているものではないことに注意が必要です。

ITスキル標準で表しているのは、あくまでも、プロフェッショナルとしての実務能力のレベルです。職種と専門分野が異なってもレベルが同じであれば、活動領域や成果物の違いはあれ、実務能力のレベルとしては同等です。なお、ITスキル標準におけるレベルは、人事制度における役職のレベルを表現しているものではないことに注意が必要です。

ITスキル標準V3よりレベル1、2の職種、専門分野を共通化し、達成度指標、スキル熟達度等の指標を統一しました。このレベルの人材については、経験や実績をもって人材の評価を行うよりも、視野を広げる意味で万遍なく幅広い知識の修得を促進する観点で、保有すべき知識、スキルを定義します。日常の業務遂行をしながら、基本的な知識、スキルを身につけた上で、専門別のスキルを習得することが重要です。スキル開発においても、自らのスキルの研鑽を止めることなく、また、下位レベルの育成に積極的に貢献することが求められます。