デジタル人材の育成

2025年度未踏ターゲット事業(量子コンピューティング技術を活用したソフトウェア開発分野)採択プロジェクト概要(井出・福原PJ)

公開日:2025年5月28日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 田村 亮(国立研究開発法人 物質・材料研究機構 マテリアル基盤研究センター チームリーダー/東京大学 大学院新領域創成科学研究科 講師)

2.採択者氏名

  • 井出 駿太(慶應義塾大学 理工学部物理情報工学科)
  • 福原 博樹(慶應義塾大学 理工学部物理情報工学科)

3.採択金額

  • 3,960,000円

4.プロジェクト名

  • アニーリングマシンを用いたライドシェアアプリケーションの概念実証

5.応募部門

  • ベーシック部門

6.応募枠

  • 通常枠

7.関連Webサイト

  • なし

8.申請プロジェクト概要

アニーリングマシンは、組合せ最適化問題を高精度・高効率に解くことができるといわれているが、消費者向けのアプリケーションでの活用例は限られており、社会的な知名度は依然として低い。アニーリングマシンの社会認知度を高め、さらなる発展のためには、実社会の身近な課題を通してアニーリングマシンの利点を示す必要があると考えている。中でも、新型コロナウイルス流行後に顕在化した日本のタクシー不足は、「日本版ライドシェア」などライドシェアの規制緩和が進む今、アニーリングマシンの可能性を示す実践的な題材である。
ライドシェアには、一人のユーザーに対し一台のタクシーが割り当てられるオンデマンド型と、複数人のユーザーが一台のタクシーを共有する相乗り型の二種類がある。オンデマンド型及び相乗り型ライドシェアのマッチングアプリケーションでは、ユーザー体験向上のために組合せ最適化問題の最適解を高精度・高効率に求めることが必要となり、アニーリングマシンの利点が有効となるユースケースである。
これらを背景に本プロジェクトでは、アニーリングマシンを用いたライドシェアのマッチングアルゴリズムを開発し、そのアルゴリズムに基づくライドシェア配車マッチングアプリケーションの概念実証を行う。これにより、タクシー・ライドシェアのユーザー体験の向上に加えて、アニーリングマシンの実践的応用の先駆けとなるとともに、ひいては量子コンピュータが社会に広く普及するマスアダプションへのきっかけとなると期待される。

9.採択理由

アニーリングマシンを用いたライドシェアアプリの開発、概念実証を行うプロジェクトである。ユーザー目線でテストできるライドシェアアプリケーションを開発しようとしており、ただ単にアルゴリズム開発やアニーリングマシンの使用だけでなく、出口を社会実装にしようとしている点が非常に評価できる。誰でも一般の方が自由に動かせるアプリケーションの開発に期待し、それによる社会への波及効果に大きく期待できるプロジェクトであり、採択すべき課題である。

更新履歴

  • 2025年5月28日

    2025年度採択プロジェクト概要(井出・福原PJ)を掲載しました。