デジタル人材の育成

2022年度未踏ターゲット事業プロジェクトマネージャー

最終更新日:2022年5月27日

IT人材育成センター
イノベーション人材部
未踏実施グループ

2022年度未踏ターゲット事業プロジェクトマネージャー

2022年度は、下記の方がプロジェクトマネージャーを担当します。

アニーリング部門

田中PMの写真

たなか しゅう

田中 宗

慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科 准教授

いま、世界各地でアニーリングマシンに関する研究開発が活発に進められています。ハードウェア開発はもちろんのこと、ソフトウェア開発やアプリケーション探索といった領域で、様々な研究機関や企業が取り組んでおり、まさに成長段階にある計算技術です。この未踏ターゲット事業は、アニーリングマシンを使ったアプリケーション開発及び、アニーリングマシンをより使える計算技術にするためのソフトウェア開発に挑戦する意欲的な方々を支援する事業であり、世界的に見ても極めて新しい取り組みです。

未踏ターゲット採択者の皆さんには、このチャンスを大いに活かし、まだ誰も達成していない大きな挑戦をして欲しいと願っています。アニーリングマシンに対する事前知識はあるに越したことはありませんが、より大切なのは、新しいコンピューティング技術に対する強い興味、開発に対する熱意、プログラミング能力や論理的思考力であると考えます。

この未踏ターゲット事業では、PM(プロジェクトマネージャー)やテクニカルアドバイザからの助言を受けることのできる体制を整えています。しかし、私たちPM(プロジェクトマネージャー)やテクニカルアドバイザはあくまで伴走者です。採択者の皆さんが独立して、楽しく開発を進めていくことが未踏ターゲット事業の意義です。

自らの開発成果によって、アニーリングマシンの発展に寄与する。自らの開発過程を通じて、アニーリングマシン業界に一石を投じる。こうした野心的な取り組みを自ら進めたいという強い意志を持つ方からの応募を心からお待ちしています。

採択者の皆さんと伴走することが楽しみです!

棚橋PMの写真

たなはし こうたろう

棚橋 耕太郎

株式会社リクルート

いま世界中で様々なタイプのアニーリングマシンの開発が活発に行われていますが、どのように使うとより社会の役に立つのか、どのような問題に対して効果的に利用できるのかなど、わかっていないことがたくさんあります。また、ハードウェアの性能は年々進歩しており、それに伴って適用可能なアプリケーションの幅も急速に広まりつつあります。

アニーリングマシンを使うためのソフトウェア環境の整備もまだまだこれからという状態です。現実世界の問題をアニーリングマシンで解こうと思うと、問題の変換など煩雑な前処理が必要になるという課題があります。また、アニーリングマシンはその種類によって異なる特徴を持っているので、これらをうまく吸収するような手法の開発も必要になります。

今この分野は、若い力、そして常識にとらわれない新しいアイデアを必要としています。私はPM(プロジェクトマネージャー)として、採択者の皆さんのアイデアを実現するためのお手伝いができればと思っています。そして、皆さんと伴走する中で、新たなイノベーションの種が花開く瞬間を一緒に見届けることができれば何よりです。

田村PMの写真

たむら りょう

田村 亮

国立研究開発法人 物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主幹研究員
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 講師

アニーリングマシン向けアプリケーション開発、ツール開発は発展途上にあります。

このような状況下での技術開発には、既存の発想に捉われない豊かなアイデアが重要だと思っています。特に若い力が必要だと感じています。

また、アニーリングマシンになかなか直接触れることができないこともアプリケーション開発、ツール開発が発展途上にあることの一つの要因だと思っています。本未踏ターゲット事業を通して、アニーリングマシンにまずは直に触れることで、皆さんの豊かなアイデアがより一層現実的なものになると確信しています。

採択者の皆さんのアイデアをいい形で具現化できるよう、PM(プロジェクトマネージャー)業務を全うしたいと思っております。 また、私自身、本未踏ターゲット事業を通じ、様々なバックグラウンドを持つ採択者と伴走することで、一緒に成長できたらと考えています。

ゲート式量子コンピュータ部門

徳永PMの写真

とくなが ゆうき

徳永 裕己

日本電信電話株式会社 コンピュータ&データサイエンス研究所 特別研究員 博士(理学)

実用レベルの量子コンピュータの実現にはまだまだ時間がかかると言われていますが、現在我々が使っている(古典)コンピュータも多くの年月をかけて様々な課題を解決し実用化を行ってきたことを思うと当然のことと思います。

これまで量子コンピュータの研究は、実験物理をベースとした基本デバイスの構築といった下位レイヤー、または情報理論、計算量理論、量子論を絡めて理論構築された基本プロトコル、アルゴリズムの設計という上位レイヤーに分かれて進められてきました。しかし、まだ研究レベルとはいえ小規模の量子コンピュータがクラウドでも公開されるような時代になり、実用のために下位から上位のレイヤーの両方に意識が向く時代になってきました。物理デバイスの制限を意識したアルゴリズム構築やアーキテクチャを意識した物理デバイス設計といった試みが近年始まっています。

このような試みを行っていくためには、今までよりも幅の広い知見、バックグラウンドを元に複合的に検討を行っていかなくてはならず、新たな人材が求められています。新しい課題に果敢に立ち向かう提案を期待します。

藤井PMの写真

ふじい けいすけ

藤井 啓祐

大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授

現在、Google、IBM、Intel、Microsoftなどの巨大IT企業や、ベンチャー企業、そして各国政府が量子コンピュータの実現にむけた研究開発を加速させています。

ゲート型の量子コンピュータ(万能量子コンピュータ)の実現には、まだ20年はかかると言われていますが、この宇宙の物理法則で作れる最強のコンピュータということもあり、その潜在能力に大きな期待がかかっています。小規模な量子コンピュータであれば、実際に動かせるものが出てきつつあり、IBM、Google、Microsoftは未来を見据えて量子コンピュータのプログラミング環境やソフトウェア開発環境を整備し、情報系の人の参入を加速させているところです。

本未踏ターゲットプロジェクト通じて、さまざまなバックグラウンドをもつ応募者に量子コンピュータというまさに人類にとっての未踏領域に飛び込んでいただき、"量子” 情報処理技術(QIT)者の育成を、特に量子コンピュータに関する専門家としての立場から全力でサポートしてまいりたいと思っています。

量子というとなかなか参入障壁が高いと思われますが、様々な分野の人が自身の強みを量子コンピュータというフィールドで必ず活かすことができると思っています。

情報系の応募者がその強みを活かして、量子を勉強しながら応募というパターンや、量子に詳しい応募者がプログラミングを勉強しつつ応募、そして、情報と量子のそれぞれの強みを持つ参加者がタッグを組んだ提案など、様々なパターンでの提案を期待しています。

山本PMの写真

やまもと なおき

山本 直樹

慶應義塾大学 量子コンピューティングセンター センター長/理工学部 物理情報工学科 教授・博士(情報理工学)

量子コンピュータは、これまでと全く違う原理で動作する計算機です。複数の情報が、計算過程が、お互いに干渉して、全く新しい情報処理が実現されます。その典型が超高速計算です。この夢のコンピュータは、長らく、純粋なアカデミック的研究対象でした。

しかし、いよいよ、クラウドなどを通じて誰もが量子コンピュータに触れる時代に突入しました。そして、ハードの性能は、毎年、着実に進化しています。まだ誤り訂正機能を備えた完璧な量子コンピュータまでは至っていませんが、この著しい進化を加速させるために必要な課題がたくさんあります。また、全く新しい量子コンピュータの使い方もあるはずです。

実用志向のものから遊び心満載のものまで、自由な発想と、そして未来の情報処理技術の基盤をつくるという意気込みを盛り込んだ意欲ある提案を期待しています。

更新履歴

  • 2021年12月17日

    2022年度未踏ターゲット事業プロジェクトマネージャーを公開しました。

  • 2022年4月12日

    田村プロジェクトマネージャーの役職を変更しました。

  • 2022年5月27日

    「2022年度未踏ターゲット事業関連ページへのリンク」を更新しました。