デジタル人材の育成
公開日:2024年11月1日
デジタル基盤センター
イノベーション部
未踏実施グループ
たけうち いくお
竹内 郁雄
東京大学 名誉教授
長い間成長の止まっている日本にとって一番必要なのは、萎縮平均の天井を突破する夢があり、それに向かって動くことのできる人材です。未踏は、人々が嬉しくなるようなIT関連の技術を、楽しく楽に、ガッツをもって開発できるような「楽ツ!」を持った人を探しています。
何かを生み出したいという拘りや動機は楽ツ!の源です。難しそうに聞こえるかもしれませんが、一緒に事業に参加した未踏の仲間たちは分野の違いをものともせず、お互いに切磋琢磨して大きく育ってきました。大の大人も寄ってたかって支援します。とがった発想と技術で、自分の未来と日本の未来を切り拓きたいという挑戦をお待ちしています。
竹内自身も、若くて生きのいい方々の楽ツ!を栄養にして、楽しくなりたいと思っています。
なつの たけし
夏野 剛
近畿大学 特別招聘教授 情報学研究所長
日本は世界で最高のITインフラを持ち、教育レベルも高く、また個人金融資産も2,000兆円以上、上場企業の内部留保も500兆円以上と十分なおカネもある。にもかかわらず、世界でのプレゼンスは小さい。それはひとえに新しい才能の羽ばたきがアメリカや中国に劣っているからだと思います。だからこそ、いま若者に大きなチャンスを、新参者に多くの機会を与えたい。
日本の最大の課題は、どうやって優秀な才能をさらに伸ばしていくか、です。平均値の向上はもう要らない。世界で通用するソフト、世界で例のないビジネスモデル、皆の想像を上回るサービス。
世界があっと驚くような利便性をもたらしてくれるアイディアと技術を待っています。
2025年度は、下記7名の方が担当予定です。
いがらし ゆき
五十嵐 悠紀
お茶の水女子大学 理学部 情報科学科 准教授
未踏に応募しようとこのページを見てくれた人は、希望ややる気、熱意に溢れていることでしょう。応募対象となる若い世代のみなさんは、小さい頃からITがそばにあり、PCやスマホに触れる人生を送ってきており、いわゆる「デジタルネイティブ」と言われている世代。そんなみなさんだからこそ気づく、「新しい技術」「新しいアプリケーション」がたくさん隠されていると思います。
大事なことは、「常識を疑うこと」。こうしたほうがいい、これを使って下さいね、などと言われたものをそのまま受け入れるのではなく、「どうしたらよりよくなるか」「〇〇があったらこんなことができるのに」と疑って考えてみる。そんなところから、新しい技術の発明、アプリケーションの開発が始まります。心に留まったこと、気になったことをぜひ、自分の力を信じて大きく育て、解決してみませんか?
未踏事業はそれを最大限に育てる最高のチャンスです。未踏事業には個性あるプロジェクトマネージャがついています。また、進捗ミーティングや合宿の際には皆さんの先輩となる未踏OB/OGも参加しすることがあります。提案者自身が思ってもいなかった「道しるべ」を示してもらえることで、一人では想像もつかなかったような様々な可能性を模索することができるでしょう。未踏採択者同士は良い意味で刺激しあえる戦友に、そしてOB/OGとのつながりは、今後の貴重な宝になることと思います。
応募しなければ何も始まりません。ぜひ提案書を書いて、第一歩を踏み出してください。
いなみ まさひこ
稲見 昌彦
東京大学 総長特任補佐 先端科学技術研究センター 副所長・教授
遠くない将来、人間の様々な能力を超えるAIやロボットの活用がどんどん進んでゆくでしょう。その時我々人間の役割はどうなるのでしょうか?
ヒントは将棋にあります。いまや将棋ソフトの強さは人類を凌駕しているといえますが、藤井聡太棋士の人気は揺るぎません。どうやらヒトはヒトを応援したいという傾向があるようです。そしてアマチュアであったとしても将棋を楽しむ体験や、将棋の上達による達成感も無くなることはないでしょう。つまりファンがつくような超人的な活躍と、自ら新たなスキルを獲得する喜びは今後も変わらぬ価値と考えられます。これは私の考える未踏のスーパークリエータが体現する価値とも一致します。
まずは「自分と特定の誰かが楽しくなる」「作りたくて居ても立ってもいられない」ような、ユーザとクリエータの顔の見える提案を期待します。また、食、スポーツ、ファッション、観光、農林水産業やここに例示されていない情報技術にとって未踏な領域へのチャレンジも歓迎します。
採択後、その提案を未来の価値につなぐための作戦を共に考えましょう。
おか みずき
岡 瑞起
筑波大学 システム情報系 准教授
目的を定め、一直線に効率的に到達するように励む。そんな効率重視の価値観がAI技術の発展によってさらに加速しています。しかし、本当にチャレンジングな課題には、一直線に解決へと至ることはほとんどありません。辿り着く方法の分からない課題に対しては、まず混沌とした中に飛び込んでチャレンジするしかありません。そして、その探索の過程で出会うセレンディピティをつなぎ合わせていくうちに、振り返ってみれば課題への解決策が見つかっているものです。
そんなチャレンジをサポートし、後押しするのが未踏事業です。もちろん、チャレンジしたいというその思いがあることが全ての出発点です。報われるかどうかわからないけれど、これを作りたい、作らずにはいられない、どうしても挑戦したい、そんな情熱を注げるテーマを持つクリエイターやエンジニアからの応募をお待ちしています。
おちあい よういち
落合 陽一
メディアアーティスト/筑波大学 デジタルネイチャー開発研究センター センター長
応募テーマの作り込みはもちろん重要な要素ですが、テーマ以上に面白い人材になりそうかどうかを審査します。集中力と行動力と情報科学に立脚した深い世界認識・行動哲学・探究心が感じられることを大切にします。散らかったポートフォリオでも構いませんが、何かに対する強い熱量を感じさせる提案をお待ちします。
近年はコンピュータが安価になり、どこでもソフトウェアを開発できるようになってきました。ですので、やるべきことはすぐ始めましょう。「未踏で作るっていうけど、どうして君は始めてないの?」という質問をしないでよい提案をお待ちします。逆にいうと、「未踏で作らなくても君は作れているけれど、なんで未踏でやるんだっけ?」という質問に対して深い答えが返ってくることを期待します。
僕自身も未踏のクリエータでしたが、やる気ある人々に囲まれていくことはとても深い喜びがそこにありました。未踏のクリエータの頃から13年経ち、デジタルネイチャーの研究室を始めて8年経ち、多くのやる気ある若い人々に囲まれて楽しい日々を送ってくることができました。近頃の目標は、技術が雪崩のように進化する中で日々を楽しみながら、僕もモノを作り続けるために手をひたすら動かすことです。
ぜひこれは僕にはできないなぁと思わせるような、感動できる素晴らしい才能を見せにきてください。僕の仕事はそんな感動をより増幅して社会に共有することだと考えています。計算機による新しい自然をより味わい深く、より歓びに満ちたものにしていきましょう。
未踏の人材が作るモノは感動できる! この喜びを共有しよう!
そがわ けいすけ
曾川 景介
newmo株式会社 CTO
基本的にあらゆるテーマやジャンルの提案を採択します。身近な問題の解決から社会の課題の解決まで、幅広く採択したいと考えています。ビジネスやスタートアップを考えているテーマでの応募も歓迎します。
誇れることではありませんが、私はこれまでたくさんの失敗を積み重ねてきました。誰もが失敗するだろうというような困難な提案であっても、少なくとも意味のある失敗ができるものであれば採択したいと思っています。未踏期間中に実現できなくても、5年、10年かけて最終的に何かに辿り着く可能性がある提案も採択したいと考えています。
最後に、何の課題も解決しないし、何の役に立つのかわからない、それでもクリエータの皆さんが情熱を持ち、熱中し、熱狂するような提案も大歓迎です。皆さんの自由な発想に期待しています。
たけさこ よしのり
竹迫 良範
神山まるごと高専 デザイン・エンジニアリング学科 教授
生成AIネイティブ世代に向けた新しいプログラミング教育ツールの社会実装や、セキュリティ技術・低レイヤー系など幅広い提案を歓迎します。その中でも、ライフワークとして継続的に取り組めるテーマで、筋の良い「車輪の再発明」は大歓迎です。学習目的のために車輪の再発明をすることもありますが、未踏ではそれ以上の価値が求められます。プロジェクトの採択には、革新的なテーマ設定ができているかどうか、それらを解決できる技術力を本人たちが有しているか、またそれらを自分たちで取り組む競争優位性があるか、そしてプロジェクト期間終了後の将来性があるか、プロジェクトが失敗したとしても社会への新しい学びは得られるか、など複数の観点から多面的に評価を行います。
AI前提の時代だからこそ、アプリケーションを実装する際にも、低レイヤーの技術にも精通し、下から上まで一気通貫で自分の手を動かしてモノづくりしていることが競争優位性になり得ます。物事の原理原則を理解した上で型を上手に破り、自分の新しい型を作る、そんな試行錯誤の中で新しい技術革新が生まれることを期待しています。成功するまで諦めずに継続することも大事、自分で一からコードを書くのが大好きで、プログラミングに熱中できる情熱も重要です。その結果、世界に新しい価値を一つでも提供することができれば、胸を張って未踏の領域に踏み込めたと言えるでしょう。
車輪の再発明であっても大歓迎、実装するのが大変でも自分が情熱を持って続けられる、内発的動機に基づいた提案を待っています。
たなか くにひろ
田中 邦裕
さくらインターネット株式会社 代表取締役社長
物事を成功させる原動力は、やりたいと思う情熱です。
未踏においては、作りたいもの自由に作り、やりたいことを自由にやれる環境を用意しています。
そして何より、それを応援してくれる人たちがいます。
どんなものでも、最初はたった一人のアイデアと行動力から生み出されます。
すでに他の人がやっている事でも、違う人が違うやり方でやれば、全然違うものができます。
そんな、あなたしか出来ない新しい何かをお待ちしています。
自分がこれを作りたい!やりたい!という強い気持ちと実装力があれば、ぜひ採択したいと思います。
未踏を通じて、起業や新しい研究やオープンソースなど、世界を変える成果を残してくれることを期待しています。
2024年11月1日
2025年度未踏IT人材発掘・育成事業プロジェクトマネージャー一覧を公開しました。