デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2025年度採択プロジェクト概要(蒋PJ)

公開日:2025年6月25日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 五十嵐 悠紀(お茶の水女子大学 理学部 情報科学科 准教授/東京大学 先端科学技術研究センター 准教授)

2.採択者氏名

  • 蒋 理嘉(慶應義塾大学 環境情報学部)

3.採択金額

  • 2,880,000円

4.プロジェクト名

  • アニメやドラマの字幕を活用した外国語学習アプリケーション

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請プロジェクト概要

本プロジェクトでは、外国語の言語学習者が、その学習対象の言語環境にいない状況でも効果的に言語能力を向上させることが可能なアプリケーションを開発する。具体的には動画共有サイトや動画配信サービスに掲載されている映画・ドラマ・アニメなどの動画とその字幕を活用して、学習者が活きた外国語環境に浸りながら、その言語のリスニング、リーディング、スピーキング、ライティングをバランスよく学べるアプリケーションを実現する。
開発する具体的な機能としては、以下のようなものを想定している。

  • 母国語の字幕が用意されていない動画に対して、字幕を生成・翻訳する機能
  • 多言語の字幕の表示を簡単に切り替えられる機能
  • 元言語と母国語の字幕を並べて表示する機能
  • 字幕内の単語や台詞を振り返られるようにする機能
  • 動画を視聴しながらのシャドーイングでの発音を採点する機能
  • 学習した単語を単語帳にまとめる機能
  • 台詞の字幕に空欄を入れることによるクイズ形式で単語や台詞を学習できる機能
  • 学習の進捗を可視化する機能
  • ユーザどうしで単語・台詞の豆知識や文化的背景などを共有できる機能

本アプリケーションは、動画本体の保存・改編は行わないスマートフォンアプリケーションとして実現することを想定している。字幕情報の取得については、動画投稿サイトの公式APIや音声認識技術を用いることで、著作権やプラットフォームの利用規約を遵守できるようにする。また、保存される台詞や語句は、ユーザが個人学習を目的に選択した断片的な情報に限定し、原作品の台詞の全文再現や不特定多数の第三者への共有・公開はできない設計とする。
以上のように、本プロジェクトでは動画コンテンツの権利者や配信事業者の権益を侵害することのないよう、十分に配慮をした開発を行う。

7.採択理由

本提案は、提案者自身の日本語学習の経験から端を発した、アニメやドラマの字幕を活用して言語学習を支援するプロダクトの開発を目指すものである。単語やセリフの学習、シャドーイングや発音評価によるスピーキング練習など、細部にわたる機能が設計・構想されており、学習者が母国語と学習言語を比較しながら言語学習に取り組める点が、従来とは異なる新たなユーザ体験を提供できると評価した。教科書ベースの学習では得られにくい、日常会話で使われる自然な表現やスラングを、アニメやドラマを通じて学べる点も大きな魅力である。言語の習得にとどまらず、その背景にある文化にも触れながら、より自然な形で言語能力を高められる可能性に大いに期待している。

更新履歴

  • 2025年6月25日

    2025年度採択プロジェクト概要(蒋PJ)を掲載しました。