デジタル人材の育成
後藤 真孝(産業技術総合研究所 情報技術研究部門 首席研究員)
チーフクリエータ
神武 里奈 (筑波大学 情報学群情報メディア創成学類)
顔は人の印象を最も捉えやすい部位として注目されている。そのため、人はメイクにより顔の魅力を向上させようとする。しかし、メイク手法は膨大に存在し、個人に適したものを見つけ出すことは難しい。さらに、メイクは自分の好みの顔になりたいという女性の主観的な欲求を満たすものであると捉えると、個人に適したメイクだけではなく、個人の好みを反映させたメイクをすることが重要であると言える。
そこで本プロジェクトでは、ユーザの好みを反映したメイク手法を、ユーザの顔の構造を分析した上で推薦するシステムを開発する。本システムは、ユーザの顔画像から画像処理により顔の特徴点を抽出し、魅力的な平均顔やユーザが希望する特定の好みの顔に近づくためのベースメイク手法を推薦する。その上で、ユーザの好みの印象を顔に反映するメイク手法を推薦する。さらに、使用道具や技術ごとにレーティングすることで、ユーザの熟練度に合うメイク手法を推薦する。このように本システムによって、ユーザに適し、ユーザの好みを反映したメイク手法を推薦することで、ユーザが顔の魅力を容易に向上できるようにすることを目指す。
顔の印象を変えることができるメイクを人間が手作業でする過程を支援するために、ユーザの顔画像に基づいて、魅力的な平均顔や、ユーザが希望する特定のなりたい顔に近づけるためのメイクを推薦するシステムの提案である。ユーザの顔に適したメイク、ユーザの好みのメイク、さらにはユーザの熟練度に応じたメイクが推薦できるシステムを目指している。
神武さんは、書類審査時点で例外的に詳細で丁寧に実現方法を検討した魅力的な提案書を提出しており、明確なビジョンを持って本システムを実現しようとしている点が優れている。既にユーザの顔画像からの顔の特徴点の検出や、顔パーツの比率の比較など、着実に着手し始めているため、まずは自身で考えた計画を少しでも前倒しして実施し、全力でプロジェクトを進めることを期待したい。
しかし、実際にプロジェクトを開始すれば、事前の検討では想定していなかった様々な困難に直面することも予想される。提案内容だけに限定せずに幅広く挑戦して、大きな飛躍を遂げてくれることを期待したい。競合もある中で、どう成果を広めていくか、採択後の活躍が楽しみである。