デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2012年度採択プロジェクト概要(中谷PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

首藤 一幸(東京工業大学 大学院情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 准教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    中谷 翔(東京大学大学院 情報理工学系研究科 電子情報学専攻)

3.採択金額

  • 1,792,000円

4.テーマ名

  • High Performance SQLite の開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

本プロジェクトでは、SQLiteを拡張した、大容量のデータ処理に強い手軽なRDBMSであるHigh Performance SQLite の開発を行う。
大規模データをRDBMSで扱う際には、MySQLやOracle Databaseといった、高性能ではあるが小回りの効きづらいシステムを採用する傾向がある。しかし、このようなシステムの導入や運用のコストは低くない。優秀な技術者を抱えていなければ、高性能かつ高信頼なデータマネジメントは難しいのが現状である。 一方、SQLiteはその手軽さから、現状はアプリケーションのバックエンドとして利用されたり、パフォーマンスを第一義的には要求しない個人に利用されたりすることの多いRDBMSである。
High Performance SQLiteは、それらの特長を併せ持った高性能かつ小回りの効くRDBMSを目指す。SQLiteの手軽さをそのまま残すか更に手軽にし、かつ高性能を発揮するRDBMSを実現できれば、多くの受益者を生むことができる。
具体的には、SQLiteをベースに次のような機能を加えることを目指す。

  • 大規模データの処理を高速に行う
  • 即応性の向上

開発した成果はオープンソースソフトウェアとして公開し、広く一般ユーザや企業ユーザへの普及を目指す。

7.採択理由

データベース管理システム(DBMS) SQLiteを対象として、データファイルの取り扱いが楽といった簡便さを維持しつつ、高性能化を図る、という提案である。
高速化の方針にはいくつかの候補があるが、どれが有効かは未知数である。ストレージエンジン相当個所で用いるデータ構造は今もなお発展しており(例えばbLSM)、そうした知見を採り入れることで性能向上を図れる可能性は高い。また、読み出し性能重視であるところを書き込み性能重視にもできるようにしたり、性質・傾向を変化させることにも価値がある。
手段は問わない。速くするというプロジェクトなので、速くしてくれると信じている。欲を言えば、もうひとつ、速さとは異なる成果で我々を驚かせて欲しい。