デジタル人材の育成
公開日:2026年1月15日
本プロジェクトは、掘削機械のオペレーター作業を遠隔操作および自動化する技術の開発を目的とする。掘削は地中数千メートル規模の施工を伴い、CCSや地熱発電といった脱炭素技術をはじめ、地下水素抽出や温泉開発など次世代インフラの基盤となる。しかし、現状は職人の経験や勘に依存し、自動化やAI活用がほとんど導入されていない。過酷な労働環境による人材不足も深刻であり、掘削産業は社会的要請の高まりに応じられないボトルネックとなっている。
本プロジェクトは、掘削機械自体は改造せずに、外付けの機器や機械学習モデルなどにより、オペレーター作業の自動化を目指す。はじめに、掘削機械を遠隔操作できる環境を整えることで、現場に常駐せずとも遠隔地から操作が可能となり、作業の柔軟性を高めながらデータを収集することができるようになる。こうした仕組みにより、一人のオペレーターが複数の現場を同時に担当できるようになり、掘削機械の稼働率を向上させるとともに、深刻化する人材不足の解消を図る。
本技術の新規性は、AIの活用が進んでいない掘削業界に対し、自動化を導入する点にある。これは建設機械のDXとは異なり、視覚情報が得られない地中作業を対象とするため、広範で探索的なデータ収集を必要とする。完成すれば国内外の掘削需要に応えるだけでなく、将来的には月面や小惑星での無人掘削といった地球外施工にも応用できる可能性をもつ。
本提案は、熟練人材と危険な労働に依存する掘削機械オペレーションを遠隔操作・自動化し、CCSや地熱発電など拡大する地下掘削市場のボトルネック解消を目指すプロジェクトである。全国90件超の現場調査に基づき人手不足や重労働といった顧客ペインを捉え、外付け制御装置・センサー群・UIのプロトタイプを既に保有。一方、本来外付けを想定していない油圧重機への後付け実装、安全設計・保険・オペレーター資格との関係整理、機種ごとの仕様差分への対応など、社会実装上の論点も多く、期間中に対象機種と現場条件を絞り込んだ検証を進めることを期待する。国内市場での成功事例を足掛かりに世界市場を見据えたプロダクトへと磨き上げてほしい。掘削の「職人技」を形式知化し、誰もが安全に使えるインフラとして社会実装していく挑戦を、未踏アドバンスト事業の場で力強く後押ししたい。
2026年1月15日
未踏アドバンスト事業:2025年度下期実施プロジェクト概要(平田・戸井・倉嶋PJ)を掲載しました。