デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2021年度採択プロジェクト概要(蛭子PJ)

最終更新日:2021年6月25日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 稲見 昌彦(東京大学 総長補佐・先端科学技術研究センター 教授)

2.採択者氏名

  • 蛭子 綾花(筑波大学 大学院 人間総合科学学術院 人間総合科学研究群 情報学学位プログラム 博士前期課程2年)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.テーマ名

  • 微細加工技術によるWebカメラのToF(トフ)カメラ化

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

距離計測手法の一つであるTime-of-Flight(ToF)は、
(1)小型化が可能、
(2)CPU負荷が小さい、
(2)CPU負荷が小さい、
(3)比較的長距離計測が可能、
(4)画素単位で独立して距離計算が可能、
といった特徴を持つため、近年、研究開発が盛んに行われている。

ToF(トフ)の原理は、照射光が被写体に反射して戻ってくるまでの時間を測定し、距離を計測するというものである。しかし、既存のToF(トフ)カメラは時間を計測するための回路を必要とするため、受光面積的な観点から高解像度化することが困難であり、またS/N比的な観点から距離計測精度の向上を行うことが困難であるという問題が存在する。

そこで本プロジェクトでは、これら既存のToF(トフ)カメラにおける構造的な問題を解決するために、電気偏光光学素子を用いた「時間偏光相関イメージング」を開発する。時間偏光相関イメージングは、光源およびカメラ前面に設置された電気偏光光学素子によって偏光状態を時々刻々と変化させ、距離によって生じた偏光状態の変化を偏光相関として計測する。

これにより、距離を推定するための情報は実空間上で計算された状態で素子に入るため、既存のToF(トフ)カメラのように距離計測のための回路を必要とせず、ToF(トフ)カメラにおける多画素化とノイズ低減というブレイクスルーをもたらすことが可能である。本プロジェクトでは、カメラのフィルタとしての電気偏光光学素子を微細加工技術によって実現し、時間偏光相関イメージングシステムを構築する。

7.採択理由

光の偏光状態を高速に変調可能なフィルタを安価なカメラに装着することで、ToF(Time of Flight)を計測することを目指した提案である。現在主流となりつつあるSPAD(Single Photon Avalanche Diode)を用いたシステムなど競合技術に対する優位性には懸念があるものの、提案者は技術への深い理解とプロジェクトへの熱意が高く、魅力的なシステムとして発展することを期待し採択した。

更新履歴

  • 2021年6月25日

    2021年度未踏IT人材発掘・育成事業:蛭子プロジェクト概要を掲載しました。