自分が録ったノートに授業の映像が紐づくと、ノートはその効果をより効果的に発揮する。加えて、授業のリアルタイム映像に直接メモを書き込めるようになると、板書の内容をそのまま写す必要がなくなる。さらに、要約・言い換え等による符号化を促進することで、ノートの内容がより記憶に残りやすくなることに繋がる。このような、映像と書いた内容とを紐づけるノートを、以降「映像型ノート」と呼ぶ。
しかし、講義形式の授業では、教師の発言とノートを書くタイミングにはラグが発生するため、映像型ノートはそのような従来の同期型の授業にはマッチしない。そこで本プロジェクトでは、同期型と非同期型の双方の利点を取り入れた授業を実現する映像型ノートシステムを開発する。
本システムは、同期型授業において非同期型授業のように画面上のその授業映像の時間を操作できるようにすることで、各生徒が授業の進行を思い通りにコントロールできるようにする。また、同期型授業の双方向性を保ったまま、タブレット上で学習に効果的な映像型ノートテイキングが行えるようにする。時間操作によって生じた授業の進行のずれは、映像の内容を解析して自然に吸収されるようにする。
本システムは、学校での対面授業とビデオ会議システムを使用したオンライン授業の二つの同期型授業に対応させる。これらによって生徒に時を操作するような授業体験を提供し、生徒の学習能力の拡張を目指す。
本提案は学習効果の向上に関するものであり、ユーザがインタラクティブに講義映像の時間を伸縮しながら再生することで、講義の理解度を深めることを目指している。VRや全方向映像技術を用いつつ、同期型・非同期型講義の双方に適応することを目指した意欲的なプロジェクトである。現在各所で行われている遠隔講義に利活用可能であり、時宜を得た提案である。
2020年6月26日
2020年度採択プロジェクト概要(青山PJ)を掲載しました。