最終更新日:2019年6月28日
近年、VR技術が発展し、小説やアニメ、ゲームなどの空想現実の世界を疑似体験することが可能となってきている。現実空間では難しいことも、空想現実では可能である。本プロジェクトは特に食事について着目する。
空想現実の世界では、食事制限などで食べられないものや、誰も食べたことがない「ドラゴンの肉」も食べられるはずだ。しかしながら、空想現実空間では食事をすること自体が非常に難しい。ヘッドマウントディスプレイと呼ばれるメガネ型のディスプレイで空想現実空間を体験しているときは、現実世界にある実際の食べ物が見えない。ヘッドマウントディスプレイに装着するフロントカメラの映像などを通して現実世界を見ながら食事をすることは可能であるが、それにより「空想現実世界に自分が存在している」という実在感が失われてしまう。
本プロジェクトでは、空想現実世界での実在感を保ったまま食事を可能にする要素技術を開発する。空想現実世界での実在感を保ったまま、人間が現実空間の物体を認識する方法として、現実世界のものをそのまま表示するのではなく、空想世界のイメージに合ったVRオブジェクトを作成し、現実世界の物体と置き換えて表示する方法がある。例えば、現実世界の電柱をそのまま表示せずに、大自然の中ならば木のVRオブジェクトに、氷河の世界ならば氷柱のVRオブジェクトに置き換えて表示する。
本プロジェクトでは、
という3つの手順を行うことで、空想世界での実在感を保ったままの食事を実現する。加えて、現実世界の食事を空想現実世界の食事に錯覚させる仕組みの実現を目指す。
ACM Future of Computingでは、「食とコンピューティング」を次世代の情報学のターゲットとして選定している。本申請はこの食とコンピューティングに関するものであり、VRを体験中に現実には存在しない食を提供することを目指している。食を無理やりVRに持ってくるだけでなく、食体験をVRで演出・拡張するような実装もぜひ目指して欲しい。
2019年6月28日
2019年度採択プロジェクト概要(中野・堀田PJ)を掲載しました。