最終更新日:2019年6月28日
従来、いちごの栽培における受粉作業はミツバチによる虫媒で行われてきた。一般的に虫媒に使用されるミツバチはオーストラリアなどから輸入したセイヨウミツバチであるため、いちご農家ではセイヨウミツバチを今後も同じ価格で輸入し続けることができるか、外来種であることから輸入規制がされることがないか、などの不安を抱えている。そして、ミツバチの巣箱の管理は農家にとって小さくない負担となっている。
大局的には、地球温暖化や農薬散布によるミツバチの減少と、それに伴う多くの作物への影響が問題視されている。本プロジェクトでは虫媒に代わるいちごの自動受粉作業ロボットシステムを開発する。本システムは画像情報を用いて適切な受粉時期を判断し、ロボットに取り付けられた専用アタッチメントによる受粉作業を行う。また、搭載するセンサーを限りなく少なくすることで、小規模農園でも導入できる低コスト化を実現し、いちご農家の負担とリスクの軽減を目指す。
イチゴ農家における受粉のための課題をうまくとらえ、それをロボットで自動的に行うシステムを開発するという提案である。実際に栽培状態の可視化やロボットシステムもすべて自身で行っており、イチゴ農家との連携体制も十分である。受粉が均等でないと育ったイチゴの形が崩れるといった視点や、毎月需要があるといった点、単価が高いといった点からイチゴに着目して取り組む。
提案システムができた暁にはイチゴ以外の食物における受粉問題等の手助けとなるなど、農業の分野を支える技術になる可能性がある。プロジェクト期間中にやるべきことが明確であり、開発計画およびアルゴリズムの提案についても具体性があり、期待できると判断した。
2019年6月28日
2019年度採択プロジェクト概要(市川PJ)を掲載しました。