デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2008年度上期採択プロジェクト概要(秋山PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 竹内 郁雄(東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ:秋山 博紀(慶應義塾大学環境情報学部)
    コクリエータ:なし

3.未踏ユースプロジェクト管理組織

  • 株式会社創夢

4.採択金額

  • 3,000,000円

5.テーマ名

  • 描くソフトウェア開発による描けるドローソフト生成環境の開発

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請テーマ概要

本プロジェクトは、「描けるドローツール」を簡単に生成する環境を用意することにより、CGの敷居の高さや無機質さを排除し、新しい創造活動の場を提供することを目的とする。
従来のCGソフトウェアは、白地のキャンパスという殺風景な場所に、無機質なペンツールや複雑な設定が必要な筆ツールを使って絵を描く。まったくの"無"の状態から"有"である絵を描くには慣れや高度な技術力が必要で、CGソフトウェアの敷居の高さの原因であった。
本プロジェクトではまず、「描けるドローツール」を提案する。これは、黒板や道路の落書きといった現実のものをシミュレートすることによって敷居を下げ、気軽にCGを楽しめるものにするツールである。本プロジェクトはその「描けるドローツール」を「描く」動作を基本とした簡単な操作で気軽に開発できる、「描くソフトウェア開発」を提案する。これは例えば、「鉛筆」の絵を描くと画面に鉛筆が現れ、その場で作った鉛筆の書き味を試せるという画期的なシステムである。このような手法で、「描けるドローツール」に共通の"3要素"である「ペン」「ボード」「オーラ」を気軽に作れるのが本システムの最大の特徴である。
また、ユーザーによって作られた「描けるドローツール」に対し、他のユーザーが評価したり意見を交わせる機能を実装することにより、「描けるドローツール」製作者のモチベーション向上につなげる。更に、他の人が作った"3要素"を自分のドローツールに流用して新しいドローツールをつくれるようにし、多くの「描けるドローツール」の生成を支援する。

8.採択理由

ユニークな発想のドローソフト(の生成環境)の提案である。黒板のチョーク書きをディスプレイ上で行なうという、高校生時代からのシステムの開発経験をもとにして、あらゆる種類の自然界のキャンバスと筆をシミュレートできるソフトの枠組を開発しようとしている。結露した窓と指、道路とチョーク、空と雲などが例示されていたが、まだまだ可能性はある。だから、「ドローソフト生成環境」つまり、ユーザに簡単に自分の好きなキャンバスと筆を使ったドローソフトを作ってもらうという発想が生きてくる。
逆にあまりにも可能性が広すぎるために、ユーザからはあれやこれや多様な要求が来そうだ。それをいなしながらも、システムの面白さを上げるために、いろいろな試行錯誤が必要になると思う。大変だと思うが、どこかでチンマリとまとめず、最後までチャレンジする気概をもって進めてほしい。