最終更新日:2019年6月28日
Arduino、Raspberry Piなどのコンピューティングデバイス、BLE、LPWAなどの通信技術の登場によりIoTサービスを構築・運用・改良する成功事例が増えてきた。しかし、運用に関する部分を現場の人が自前で構築するのは難しいため、本プロジェクトではネットワークの知識があまりない人でも、自分たちで購入したセンサやマイコンを組み合わせた、言わばDIY的に構築したIoTサービスの運用を可能にするSaaSを開発する。
本SaaSはIoTサービスの構成部品の稼働状況の監視、故障率の抽出、故障対応、故障予測、IoTサービス自体及び構成部品の稼働・故障推定といった機能や、未対応機器の後付け型簡易監視デバイスによる監視サービスを提供する。
本プロジェクトの斬新さは、世界中のIoTサービスの運用・維持・管理の部分をプラットフォームとして提供する点である。ソフトウェアエンジニアによる作り込みをサポートするために多様な機能を提供する既存のIoTプラットフォームに対し、本プロジェクトはどんなIoTサービスでも必ず発生する、運用・維持・管理に特化したプラットフォームを提供する。また、現場の人たちのDevOpsを助けようという観点は既存のIoTプラットフォームにはないものである。
期待される効果は、単体のIoTサービスの構築が楽になることだけでなく、IoTサービスの構成情報や各構成部品の故障情報を横断的に利用した新しいサービスの創出である。各IoTサービスでどのような部品が使われているかを全て把握することができるため、部品の故障推定や故障予測の精度向上にはもちろん、新たなIoTサービス向け製品の開発にも役立てることができる。
IoTによってデータをセンシングするプロジェクトは増えているが、そのデータをどのように処理するのかのベストプラクティスはまだまだ少ない。加えて収集するためのセンサーやテレメトリなどのハードウェアに得意な人は多いが、それを蓄積して維持運用するためのノウハウはまだまだ少なく、そちらにモチベーションが向いている人も少ない。
本提案は、データの蓄積と運用をSaaSとしてクラウド型で提供するものであり、商業ベースで提供されている既存のIoT基盤に比べて軽量かつ省力化することに対してのこだわりを持っている事が差別化の要因であり、学術研究レベルから工場での本格的な利用まで、IoTの広がりを支えるプロジェクトになる事を期待している。
2019年6月28日
2019年度採択プロジェクト概要(永野・新井PJ)を掲載しました。