デジタル人材の育成

大阪府警察本部インタビュー

公開日:2025年2月25日

大阪府警察本部 警務部 高度情報推進局 サイバーセキュリティ対策課
佐藤清様(仮名)(左)
管理官 警視 鎌谷輝明様(右)

  • 大阪府警 サイバーセキュリティ対策課一同

サイバー空間における治安維持に向け、大阪府警全体の対処能力を底上げ

サイバー関連の犯罪件数が年々増加しており、最近では年間20万件を超える相談が全国の警察に寄せられている状況です。
フィッシング詐欺で個人情報が窃取・悪用されたり、ランサムウェア攻撃で企業・団体の事業継続が脅かされたりするなど、サイバー犯罪が社会に大きな影響を与えています。こうしたサイバー犯罪への対処能力を向上するため、警察庁は2022年4月1日にサイバー警察局を発足しました。大阪府警察(以下、大阪府警)でもその動きに合わせて、2022年4月に警務部にサイバーセキュリティ対策課を新設しました。
当課の役割は、サイバー犯罪捜査における技術的支援や大阪府警の警察官を対象としたサイバー人材の育成をはじめ、企業・団体・一般市民を対象としたセミナー等によるセキュリティ啓発活動など多岐にわたります。
セミナーの聴講者からは「勉強になった」「危険性を実感できた」といった声が寄せられ、リテラシー強化のお役に立っていると実感しています。
サイバー空間における治安維持に向けて、大阪府警全体の対処能力の底上げを図るということで、使命の大きさを実感しながら日々緊張感をもって職務に取り組んでいます。

情報処理安全確保支援士には、攻撃者からユーザーを守ろうとする倫理観がある

サイバーセキュリティ対策課に配属された警察官には、ITやセキュリティの基礎知識を身につけてもらうため、情報処理技術者試験の受験を励行して継続的な自己研鑽を求めています。とりわけ専門性の高い人材の証となるのが、情報処理安全確保支援士の資格および試験合格者です。より高度な知識やスキルを持っているという事実だけでなく、質の高い学びを継続するという本人の取り組み姿勢も評価できることから、この資格は内部表彰や内部資格認定の対象にもなっています。
また、サイバー犯罪捜査官の採用においても、情報処理技術者試験の合格は応募資格要件のひとつです。サイバー犯罪捜査官の採用では高度な専門性と警察官としてのモラルが問われます。これまでの業務経験ももちろん重要ですが、情報処理安全確保支援士試験合格者・資格保持者は、悪意ある攻撃者からユーザーを守るスキルや知識を自ら学び、必要な努力を積み重ねて難関試験を突破するという、倫理観や人間性も評価できると考えています。
情報処理安全確保支援士として民間企業で働いていた佐藤は、サイバー犯罪捜査官として大阪府警に転職しました。佐藤はいまサイバー犯罪捜査官として、サイバー犯罪捜査の最前線においてログやプログラムの解析を通じて攻撃者の動きを特定したり、被害にあった企業の初動対応や証拠保全の支援、あるいはほかの捜査員に技術的なアドバイスをしたりと大いに活躍しています。
佐藤は、サイバーセキュリティの知識が広く求められる今の仕事では、情報処理安全確保支援士の資格取得により学んだことが役に立っているといいます。また、この資格を活かして今後も高度な専門性で攻撃者を鋭く追及し、組織化・グローバル化するサイバー犯罪の検挙に努めていきたいと考えています。

サイバー捜査官は不足傾向。全国の警察でセキュリティ人材が求められている

残念ながら、現状ではインターネット空間の治安は良いとはいえません。サイバー犯罪捜査官は全国的に不足傾向にあり、大阪府警に限らず各都道府県警察で募集しています。セキュリティに関心のある方はぜひ学びを深め、情報処理安全確保支援士試験の合格を目指していただけたらと思います。取得したスキルや知識をサイバー犯罪捜査に活かしたいとお考えでしたら、ぜひ警察の人材募集に手を挙げてみてください。情報処理安全確保支援士を目指す方の中から、ともにサイバー犯罪捜査に従事してくださる方が現れたら喜ばしい限りです。
我々をはじめ警察ではサイバー犯罪への対策を強化していますが、企業・団体や、市民のみなさんにもサイバー空間の危険性を理解したうえで対策を徹底していただき、ご自身が被害に遭うリスクを低減させることを望んでいます。少しでも多くの方がセキュリティを学び、それを社会で有効に活かすことができれば、サイバー空間全体の安全が高まります。
インターネット空間の治安を守るため、警察のみならず、みなさんも一緒に、セキュリティの知識を得て日本の安全を守っていきましょう。