デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2024年度採択プロジェクト概要(上條PJ)

公開日:2024年6月25日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 落合 陽一(メディアアーティスト/筑波大学 デジタルネイチャー開発研究センター センター長)

2.採択者氏名

  • 上條 陽斗(東京大学 大学院工学系研究科 建築学専攻)

3.採択金額

  • 2,880,000円

4.プロジェクト名

  • 量産可能な4Dファブリケーションテキスタイルの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請プロジェクト概要

本プロジェクトでは、革新的な表現をもたらすテキスタイルの製造手法を開発する。目標とするテキスタイルは標準的なロール状に製造され、それを熱することで布に織り込まれた熱収縮糸が一様でない収縮を引き起こし、立体的な形状へと自動的に変形する。それにより美観に優れて造形性の高いテキスタイルを開発することで、建築内部空間を彩るテキスタイルやプロダクトデザイン、服飾デザインに新たな表現をもたらすことを目指す。

本プロジェクトは、デジタルファブリケーションの領域で4Dファブリケーションという概念で整理される、平たい状態で製造されて後から立体化する手法に対して、量産可能な製造方法を与えたいという動機に基づく。本プロジェクトでは4Dファブリケーションの中でもProgrammable Textileなどと呼ばれる3Dプリンタを用いる手法に着目し、この手法を織りの構造に置換することを発想した。それを可能にするために、以下の実現に挑戦をする。

  • 既往のProgrammable Textileの手法の「伸び縮みする部分、伸び縮みしない部分がある」「平たい状態で製造されて、後の処理によって細かい凹凸と全体の立体形状への変形を生じる」という特徴を保持する。
  • 工業的な既存の設備では困難なプレテンションの工程の代わりに熱収縮糸を後から縮めることで平面に収縮を生み出す手法を実現する。
  • よこ糸のみに熱収縮糸を用いることで、既存の織機にたて糸を張りなおすことなく、そのままの設備での製造を可能にする。

7.採択理由

これまでの建築分野の知見を活かしたプロダクトデザインへの期待と実現可能性の高さを評価した。織機の縦糸と横糸に着目する発想は温故知新であり、ゼロからファブリケーションを行っていく気概を感じ採択とした。プロジェクトの実現に向けては、大規模な布の製造など、技術的な課題をクリアしていく必要があるが、デジタルファブリケーションによる構造の展開をライフワークとしている申請者の情熱が困難を乗り越えていくと信じたい。

更新履歴

  • 2024年6月25日

    2024年度採択プロジェクト概要(上條PJ)を掲載しました。