あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起ころうとしています。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められています。
このような中で、我が国企業においては、自らDXを進めるべく、デジタル部門を設置する等の取組みが見られます。しかしながら、PoC(Proof of Concept:概念実証。戦略仮説・コンセプトの検証工程)を繰り返す等、ある程度の投資は行われるものの実際のビジネス変革には繋がっていないというのが多くの企業の現状です。
今後DXを本格的に展開していく上では、DXによりビジネスをどう変えるかといった経営戦略の方向性を定めていくという課題もありますが、これまでの既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうといった問題が指摘されています。また、既存システムの維持、保守に資金や人材を割かれ、新たなデジタル技術を活用したIT投資にリソースを振り向けることができないといった問題も指摘されています。
さらに、これを放置した場合、今後、ますます維持・保守コストが高騰する(技術的負債の増大)とともに、既存システムを維持・保守できる人材が枯渇し、セキュリティ上のリスクも高まることも懸念されます。
もちろん、既に既存システムのブラックボックス状態を解消している企業や、そもそも大規模なITシステムを有していない企業、ITシステムを導入していない分野でデジタル化を進めている企業等、上記のような問題を抱えていない企業も存在しますが、全体を見た場合、これらの問題を抱えている企業は少なくないものと考えられます。