社会・産業のデジタル変革
公開日:2025年3月21日
独立行政法人情報処理推進機構
デジタル基盤センター
EUでは、主に欧州データ戦略に基づき、Cloud-Edge-IoTの取り組みが積極的に進められています。
EUは、欧州全体を単一市場とみなし、欧州一丸で米国、ロシア、アジア太平洋地域に比肩した経済力を実現することを最重要使命としており、CPS/IoTについても分野横断的に検討が進められています。
2010 年に、フラッグシップとなる“A digital agenda for Europe” イニシアチブが立ち上がり、その中で2015年に、仮想国境を撤廃し、デジタル接続を強化、消費者が国境を越えたオンラインコンテンツに簡単にアクセスできるようにすることを目的としたDigital Single Market Strategy (DSM:デジタル単一市場戦略)を確立。IoT技術はその中心となる技術としてとらえられています。2020年にはDSM戦略のもと、EUが「データ主権」を確立し、米中のビッグテックに依存しないデータ経済をめざす戦略として、欧州委員会が「欧州データ戦略」を策定しました。
欧州データ戦略で強調されているように、IoT等から生成されるデータの量は年を追うごとに大幅に増加し、データの多くの割合がユーザーやデータが生成される場所に近いエッジで処理されるようになる(2025年には80%がエッジで処理される)と予想されています。このことは、EUにおいて 独自のクラウドおよびエッジ機能を強化し、データ主権を強化する大きな機会になるととらえられており、その実現のために完全に集中化されたデータ処理インフラストラクチャモデルから脱却し、エッジを網羅する根本的に新しいデータ処理技術として、クラウドからエッジを連続体(Cloud-Edge-IoT連続体:CEI)とみなしてデータの効率的な処理を目指す取り組みが現在強力に推進されています。
さらに、エッジでのデータ処理の重要性が高まることに伴い、データ処理にAIを活用する(エッジAI)研究開発もAIOTIを中心に積極的に行われています。
EU域内でデータの主権を確立し、データ流通を促進する基盤的政策。
欧州データ戦略をもとに産業全体のデジタル化・グリーン移行を推進する政策枠組み。
欧州産業戦略の下、データ、エッジコンピューティング、クラウド技術において産業界の連携を推進するために組織された業界主導のアライアンス。
上記政策を具体化し、研究開発やイノベーションを資金的・組織的に支援するEU最大規模の研究資金プログラム(2021-2027年)。
Horizon Europeの枠組み内に位置し、クラウド、エッジ、IoT技術を一体的に推進・連携させる具体的な技術推進イニシアチブ。
EUCloudEdgeIoT Continuum Initiativeと連携し、AI・IoT・エッジ技術の標準化や普及を推進する官民学による連携組織。
IPA デジタル基盤センター
2025年3月21日
公開