デジタル人材の育成

未踏ターゲット事業:2019年度採択プロジェクト概要(須郷PJ)

1.担当PM

  • 藤井 啓祐(大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授)

2.採択者氏名

  • 須郷 聖也(株式会社テラスカイ)

3.採択金額

  • 3,200,000円

4.テーマ名

  • 量子性を活かしたゲームの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

量子の性質は一般人から見て非常に難解であり、量子コンピューティングが今後広く普及するための精神的な障壁となっていくと思われる。そこで、遊びから量子に興味を持ってもらうことを狙う。量子についてあまり意識することなく、ひとつのゲームのルールを理解する中で量子の感覚を無意識のうちに身に着けることができれば、教育アプリとは異なった啓蒙・教育効果があると期待している。

現状、量子をテーマ・題材としたゲームは存在するが、それが本質的に面白さにつながっているものは少ない。本プロジェクトではゲームという身近な題材に量子の性質(具体的には重ね合わせや量子もつれ)を組み合わせることで新たな面白さをもったゲームを開発する。開発にあたっては、全く新規にゲームの企画を考えるのではなく、既存のゲームに量子の性質を組み合わせることで新たな遊びにつなげる。単に量子の性質を組み込むだけでなく、どのような遊び、面白さにつながっているかを計画・分析しながらプロジェクトを進める。

以上のように、量子コンピューティングの新たな活用方法の一例を提示することを通じて、当分野へより多くの関心を集めることを目指す。

7.採択理由

量子を題材としたゲームの開発は、いわゆる科研費的な研究とは異なり、ユニークなアイデアを必要とする未踏らしい提案である。

これまで、量子現象や量子コンピュータにまつわるゲームは多数あるが、量子力学のルールを忠実に取り込むものの、まったく面白みに欠けるもの、量子といっているが実のところまったく量子とは関係ないゲームとしてある程度面白いものに2分される。提案では、この点を妥協せず、量子力学を忠実にとりこみながら、面白いゲームを目指すということは挑戦的であり、それに対してゼロから考えるわけではなく、既存のゲームの拡張を行うという堅実な方針も評価した。

採択期間に出てくるアイデアに多少依存するところではあるが、量子の専門家であるPMと大手ゲームメーカーでの業務経験がある採択者との対話のなかでユニークでかつ多くの人が取り組め、量子に触れることができるゲームを作り上げることを期待する。