デジタル人材の育成

未踏アドバンスト事業:2020年度実施プロジェクト概要(田島・佐伯PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

藤井 彰人(KDDI株式会社 執行役員 ソリューション事業本部 サービス企画開発本部長)

2. 採択者氏名

  • 田島 圭二郎(東京大学)
  • 佐伯 真(株式会社FiNC Technologies)

3.契約金額

  • 10,000,000円

4.プロジェクト名

  • 画像解析技術を用いた鉄スクラップの自動解析システム(EMMA)の開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.実施プロジェクト概要

本プロジェクトは、画像解析技術を用いた鉄スクラップの等級分類及び不純物検出システムを開発し、鉄鋼材のリサイクルプロセスを抜本的に改善することを目指す。
現在、世界のCO2排出量のうち、鉄鋼材生産による排出はおよそ10%を占める。SDGsの視点から、CO2排出量を1/3に低減し資源循環が可能な鉄スクラップを原料とした電炉法の拡大は社会にとって大変重要である。ところが、リサイクル過程で鉄以外の不純物が混入することで、鉄鋼材の機能低下を引き起こすことが知られている。鉄リサイクルを促進しCO2排出量を削減するためには、不純物の濃化を防ぎ、鉄の品位を維持することが必要になる。
不純物濃化の防止のためには、不純物の除去・不純物混入量に応じたスクラップ等級分類が求められる。一方、鉄鋼スクラップのリサイクルを行う電炉メーカーは、運び込まれる大量の鉄スクラップの品質・不純物混入度合いを、熟練社員の目視で行っており、品質と作業効率に大きな課題を抱えている。この工程が、鉄鋼材リサイクルの促進に大きな歯止めをかけている。
本プロジェクトでは、画像解析技術を用いた鉄スクラップの等級分類及び不純物検出システム(EMMA)を開発し目視による工程を代替する。加えて、EMMAをベースとし、不純物量に基づいた定量的かつ客観的な新しい鉄スクラップの価格設定システムを策定する。これによりSDGsの主要目標である鉄鋼生産のCO2排出抑制を実現すると共に、スクラップ取引の健全化とコスト削減によるビジネス課題解決を目指す。
本プロジェクト期間中に協賛企業の拡大・データセット構築の元、等級分類・不純物検出の両モデルの構築を行う。その後、電炉メーカー各社にて画像解析モデルの実操業上での実証実験を行い、年度内の社会実装を目指す。

7.採択理由

本提案は、画像解析技術を用いた鉄スクラップの等級分類及び不純物検出システムを開発し、鉄鋼のリサイクルプロセスを大きく改善することを目指すプロジェクトである。
鉄鉱石を原料とした高炉法による鉄鋼材生産の二酸化炭素排出量は、全世界の排出量のおよそ10%を占めるが、SDGsの視点から、二酸化炭素排出量を1/3に低減し資源循環が可能な鉄スクラップを原料とした電炉法の拡大は社会にとって大変重要である。
一方、鉄鋼スクラップのリサイクルを行う電炉メーカーは、運び込まれる大量の鉄スクラップの品質・不純物混入度合いを、熟練社員の目視で行っており、品質と作業効率に大きな課題を抱えている。
本提案は、画像解析技術を中心としたITを、大きな市場を持つ鉄リサイクル領域に適用し、社会課題とビジネス課題を両面から解決しようとする内容となっている。電炉メーカーでの現場データを元にしたプロトタイプも存在し、システムの実現可能性も高い。
加えてイノベータの2名は、鉄鋼材リサイクル分野とITだけでなく、スタートアップ企業はじめビジネス側の経験も有しており、プロジェクトを通して新たな領域をグローバルに開拓してくれることを期待している。