社会・産業のデジタル変革

6. 今後のIPAオープンソース推進の重点アクション

2024年度オープンソース推進レポート

これまでの課題や推進策を踏まえ、実際にどのようなアクションを取るべきかをまとめる。

オープンソースエコシステムの現状把握と介入策の検討

国内を起点としたオープンソースエコシステムのリサーチと分析を通してアクター間の関係や課題を精査し、公的・民間の双方で適切な支援策を設計することが重要である。

組織の戦略的な意思決定プロセスの普及啓発

オープンソース導入におけるリスク管理や契約形態を含め、経営層や管理職レベルでの理解を深め、投資判断をスムーズに行える仕組み作りが求められる。
リスク管理には以下のようなものが考えられる。

  • ライセンスコンプライアンスの管理
  • セキュリティ脆弱性対応
  • レピュテーションリスク(企業の否定的な評価や評判の拡散によって信用やブランド価値が低下するリスク)

また、ガバナンス強化とコミュニティとの連携促進のための施策として以下のようなものが考えられる。

  • OSS利用ポリシー策定のためのガイドライン及びひな型の整備
  • OSPO設置を支援するための事例紹介・ツール提供
  • ライセンス管理やリスク対応に関する入門ガイドの整備や啓発

オープンソース人材の育成

OSS 開発者やコントリビューターの育成を促進するプログラムの拡充、学術機関との連携、企業内研修の促進により、OSS貢献に関する認知向上や参画ハードルを下げる、また継続的な貢献のサポートができる環境を準備する必要がある。

こうしたアクションは一過性に終わらせるのではなく、長期的な視野で取り組んでいく必要がある。特に、導入・推進の進捗や成果を定期的に評価し、分析結果を次の施策に反映させるサイクルを構築することが重要となる。適切な指標を設定して計測を行い、課題が浮上した時点で素早く修正を図る仕組みが、オープンソースエコシステムの持続的な発展を支える鍵となる。