デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2024年度採択プロジェクト概要(道本PJ)

公開日:2024年6月25日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 曾川 景介(newmo株式会社 CTO)

2.採択者氏名

  • 道本 将弘(埼玉大学 工学部 電気電子物理工学科)

3.採択金額

  • 2,880,000円

4.プロジェクト名

  • 型安全でクロスプラットフォームな次世代MLライブラリの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請プロジェクト概要

今日では生成AIが精緻な画像を生み出し、また人間のような文章を書く能力を実現するなど性能向上が目覚ましく、実社会への応用が求められている。しかし、その開発に使われる既存のライブラリには、新たな時代局面の要求に対して以下の問題がある。

  • 十分な工学的な堅牢さを持たずデバッグが困難である。
  • 応用アプリケーションのデプロイ・保守に手間がかかる。
  • 利用できるハードウェアが限定的である。

これらの問題は、エコシステムが立脚するプログラミング言語の特性やそのアーキテクチャに根ざしており、本質的な解決は既存のライブラリの延長線上にはない。そこで、本プロジェクトでは以下の特徴を持つ次世代ML(機械学習)ライブラリを開発する。

  • 単一ソースでクロスプラットフォームに対応し、OSやGPUを問わず、クラウドからモバイル端末まで広範な環境で動作する。
  • 専用の型システムとGUIデバッグツールにより、複雑なAIモデルのエラーを未然に検出できる。

このような現代的なパラダイムを採用した新たなエコシステムを構築することによって、AIの研究開発やアプリケーション開発の両面において、高い開発効率を提供する。本ライブラリの実現により、人間の役に立つ高性能なAIの開発と応用の促進が期待できる。

7.採択理由

どのようなOSやどのベンダのGPUであっても動作することを目指した、まさに次世代のMLライブラリを開発しようとする提案である。加えて提案者は、型システムを導入することでデバッグの容易性や開発効率の向上も見込めると考えている。本提案のユニークなところはGPUの抽象化レイヤーとしてWebGPUを用いることである。現在主流となっているMLやAIの環境は特定のベンダのプロプライエエタリなライブラリに大きく依存しており、今後のこの領域の発展には本提案が貢献できる余地があると評価した。また提案者は、一つの問題を解決するだけでなく、他の問題も同時に解決しようという大胆な発想を持っており、OSやGPUベンダに対してクロスプラットフォームであるだけでなく、同時に型安全なライブラリとして提供しようとする点も評価した。

更新履歴

  • 2024年6月25日

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