デジタル人材の育成
公開日:2024年6月25日
粘菌は環境や刺激に応じて広がり方が変化する特性を持ち、HCI研究や芸術表現にとって可能性のあるマテリアルである。一方、粘菌の培養を初心者が手軽に行うことは難しい。温度や湿度を一定に保ったり、餌を適度に与えたりするだけでなく、培地を定期的に交換する必要があるためである。
そこで本プロジェクトでは、餌入りの寒天をプリントし続けることで粘菌を常に動かし続ける自動培養装置を開発する。さらに本装置を拡張することで、ただ粘菌を培養するだけでなく、自動培養装置上で粘菌を使った作品作りや簡易的な実験ができる粘菌ファブリケーションの基盤構築を行う。粘菌をデジタルファブリケーションの系に組み込んだ「粘菌ファブリケーション」という新たな分野を開拓することで、粘菌をセンサ・アクチュエータとして活用し、インタラクション研究やメディアアート、バイオアート分野で活用されるマテリアル化を目指す。また、粘菌を培養し続け、共生を続けた先に粘菌文化が醸成されることを期待し、そのための基盤を作る。この基盤構築によって、粘菌を愛でる、楽しむ、食べる、着るといった、人間の生活の一部に粘菌が組み込まれた新たな体験と感動を生み出すことを目指す。
ハードウェア、ソフトウェア、そして粘菌が複合的に絡み付き、何よりも粘菌への深い愛情に基づいた提案である。粘菌ファブリケーションという新たな世界観の提案は、粘菌を用いた新領域創造が彼のライフワークであることを彷彿とさせ、そのプロジェクトへの情熱と実現への意欲の高さを鑑みて採択とした。
生物を扱うシステムゆえのハードウェアやソフトウェアに多くの困難を抱えていると考えられるが、プロジェクトへの深い愛情を持って突破していくだろう。その成長を見届けたい。
2024年6月25日
2024年度採択プロジェクト概要(迫田PJ)を掲載しました。