デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2020年度採択プロジェクト概要(松井PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 五十嵐 悠紀(明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 専任准教授)

2.採択者氏名

  • 松井 菜摘(神戸大学 工学部 電気電子工学科)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.テーマ名

  • ARフィルタを用いたヘアアイロン使用補助システムの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

近年SNSなどで、ヘアアイロンを用いたヘアアレンジの解説動画が数多く投稿されている。しかし、動画内のヘアアイロンの動きを、自身が持っているヘアアイロンをどう動かしたらいいのか、正確に把握・再現することは難しい。その原因として、一つは動画内と自身が向かい合わせになっており、三次元の感覚が分からなかくなること、もう一つは動画を見ることと自分自身の動きを鏡で確認することを同時にすることが難しく、動画と鏡のどちらか一方しか見えていないということが考えられる。これらの問題により思い通りにヘアアイロンを動かせないことは、力加減とタイミングが重要であるヘアアレンジ技術の向上の妨げとなる。
 そこで本プロジェクトでは、AR(拡張現実)を用いたヘアアイロンの使用を補助するアプリケーションを開発する。具体的には、髪の毛の状態とヘアアイロンの動きを検知できるセンサデバイスを作成し、それから得られるデータに応じてスマートフォンに表示されるヘアアイロンの動かし方の指示アイコンが変化していくフィルタを作成する。開発するフィルタは顔の角度に追従して指示アイコンの角度が変化し、どの角度でも指示が分かりやすく見えるようにする。これにより、先に挙げた画面上で三次元の感覚が分かりにくいという問題を解決する。また、ARを用いることでカメラに映る画像とヘアアイロン動作の指示を同時一つの画面に表示するで、動画と鏡を同時に見ることが難しい問題を解決する。
 加えて、本アプリケーションでユーザがセンサデバイスを装着して独自に行ったヘアアレンジのフィルタを、ユーザ間で共有できるようにすることも目指す。これにより、ユーザ全体のヘアアレンジスキルの向上とアレンジの幅が広がることが期待できる。

7.採択理由

ヘアアイロンの動かし方を、拡張現実を使って補助するアプリケーションの提案である。実際に提案者自身がこれまで経験してきたヘアアレンジの難しさやヘアアイロンの操作のしづらさなどをもとにした提案である。髪の毛の状態とヘアアイロンの動きに対してセンサを使うことで、3次元空間内でヘアアイロンをどのように動かしたらよいかを提示するアプリを開発する。ヘアアイロンを上手に使うには両手をうまく使いこなすことが必要であり、本提案は「道具を3次元空間内で利き手以外でも適切な動き・向きで操作できるように」という一般的な支援に展開できる可能性がある。ヘアアイロンに特化することで課題が具体的になる上、世の中の人口の半分は女性でもあるため、本提案が広がった暁にはヘアアイロンのユーザ層がより広がると想像できる。プロジェクト期間中にやるべきことが明確であり、開発計画についても具体性があり、期待できると判断した。