デジタル人材の育成
石黒 浩
デジタルデータ量が飛躍的に増加する現代にあって、自然言語処理技術の発達により、多くの自動要約技術が開発され実用段階にある。しかしながら、現状の要約関連技術の問題点として、以下の問題点が挙げられる。
情報の最適な受け取り方(要素と順序)は、人によって異なるのにも関わらず、誰にでも同じような要約が表示される。
テキスト情報のみを対象とし、画像といった、テキスト以外のWebページの要素を含んだ要約は行えない。
同一テーマを扱っているにも関わらず、URLや新聞、ブログ、ウェブサービス等でフォーマットが異なるために、それらのWebページ群を組み合わせた要約を行うことができない。
本プロジェクトでは、「個人に最適化された要約」を自動で作り出すことを目指し、眼球・脳波・マウスポインタの動きといったパーソナルデータを利用したWebページの自動要約機能の開発を行う。具体的には、Webページを閲覧している際の視線・脳波のセンシングデータと、マウスポインタの動き、スクロール速度を統合的に分析し、人間にとっての重要度と順序を用いてWeb情報を再編成することによって作られた、「人間の身体を通じて再構築された情報」を用いた自動要約システムを開発する。さらに、あるユーザに特化した自動要約機能を他のユーザと共有できるようにすることで、他人の文章理解のプロセスを理解するという、新しいWebコミュニケーションの創出を目指していく。
Webに関してはひとかたならぬ思いがあり、面白いものを作れるポテンシャルを持っている。一方で脳波等のセンサ利用については見通しが十分たてられていないように思える。閲覧履歴を振り返るのは自分の興味を整理するようなものであるが、どこまで自分の脳内情報を再現できるかが成功の鍵だと思われる。曖昧な目的でWebを検索して自分の興味に気がついていくというような利用方法が考えられる可能性がある。
採択者のうち、山形 敢太 氏は都合により契約締結に至りませんでした。