デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2016年度採択プロジェクト概要(粟本PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

首藤 一幸(東京工業大学 情報理工学院 准教授)

2.採択者氏名

  • 粟本 真一(東京大学)
  • 包 含(東京大学)
  • 関 祥吾(東京大学)
  • 今井 雄毅(東京大学)

3.採択金額

  • 2,304,000円

4.テーマ名

  • FPGAを活用したスケーラブルな高速分散データベースの開発

5.関連Webサイト

  • https://github.com/Raphine

6.申請テーマ概要

2015年12月にIntelがFPGA(Field-Programmable Gate Array)大手のAlteraを買収したことは、CPUとFPGAが統合されたSoC(System-on-a-Chip) FPGAが今後のプロセッサの主流となりつつあることを示唆している。これにより、近いうちにクラウド上における計算量の大きい処理等は、FPGAにオフロードされるようになると予想される。その意味で、FPGAを効果的に扱えるOS、ドライバ、セキュリティ機構の必要性は非常に高い。
併せて、昨今のIoT(Internet of Things)ブームにより、ビッグデータ処理の必要性は益々高まっている。しかしながら、日本には大規模なデータを捌け、かつIT産業内で普及しているデータベース(以降DB)が存在しない。GoogleやFacebook等の世界に名立たるIT企業はそういったDBを自前で有しており、これが各社の優位性に繋がっている。
本プロジェクトでは、FPGAを活用した、既存のDBよりも高速な、無限にスケールする分散DBを実装する。また、その実現のために必要なOSやドライバに対する機能も同時に実装する。FPGAの活用手法としては、DB機能を向上させる各種オフロード処理に加え、ネットワーク遅延の低減なども想定している。これはプロセッサ統合型FPGAに縛られず、FPGAというアーキテクチャ自体の様々な応用方法を模索するためのものである。本プロジェクトで開発する分散DBは、Apache Cassandra等に代表される、大規模にスケール可能で単一障害点のないP2P型にすることを想定している。分散ハッシュテーブル(Distributed Hash Table, DHT)におけるノード探索等でFPGA処理による低遅延性を活用する他、DBに格納するデータが今後ますます複雑化、大規模化していくことを見据えて、それらの処理の一部をFPGAにオフロードする。

7.採択理由

FPGAを活用して高性能な分散データベースを開発しようという提案である。データベース自身での活用と、ネットワークに近い個所での活用を検討している。
CPUにFPGAが搭載され始めるなど、世の状況は強い追い風である。産業界にも研究業界にもライバルは多く、そこで抜きん出ることは容易ではないが、クリエータ達の腕とエネルギーを信じている。

8.契約辞退

採択者のうち、今井 雄毅 氏は都合により契約締結に至りませんでした。